ホーム - 地図に残る仕事 - Vol.025 ザ・シンフォニーホール(前半)

日本初のクラシック専用コンサートホール。 聴衆を“包み込む”音楽の響きが、人々を魅了しつづけます。 Vol.025 ザ・シンフォニーホール(前半)

大阪市JR福島駅から徒歩7分。新緑がアーチをつくる並木道を抜けると、鮮やかな白い外壁が印象的な「ザ・シンフォニーホール」に出合います。

美しく佇むこのホールは、27年前に朝日放送株式会社様の創立30周年記念事業として誕生しました。「国内初のクラシック専用コンサートホールの建設」事業案が採用され、国際レベルの“良い響き”を提供できるホールを目指してプロジェクトが始まりました。
ホールの響きは、ホールの形状、大きさ、客席の材質など様々な条件により異なり、2つと同じホールは造れません。

そして、このホールには日本初の試みが数多く盛り込まれています。

  • ステージを客席が四方から囲む“円形劇場(アリーナ)”形式
  • 本格的なパイプオルガンの設置(スイス・クーン社製、パイプ総数 計3732本、3段鍵盤+足鍵盤、54ストップ)
  • クラシックの余韻に浸れる施設全体の雰囲気づくり
ホール内は“円形劇場(アリーナ)”形式

ホール内は
“円形劇場(アリーナ)”形式

壮麗なパイプオルガン

壮麗なパイプオルガン

先例が無く、2年という短工期で建設しなければならない中、技術者や現場関係者の努力は並々ならぬものでしたが、多くの試練を乗り越え、緻密なホールが1982年9月に完成しました。
それでは、ザ・シンフォニーホールをご案内しましょう!

入り口からホールまでの演出

全面ガラス張りのエントランスを通って、採光の良い豪華なグランドホワイエ(ロビー)へ。とても開放的なのは、中央が2階まで吹き抜けになっているからです。
左右に広がる中央階段を上がると、軽食も楽しめる2階ホワイエに到着。入り口からホールへ、お客様が期待感を膨らませながら向かえるように豪華な導線になっています。

画像
いよいよホールへ!

画像あっという間に3階へ。ここはホールの1階席にあたります。
扉を開けると、立派なパイプオルガンがそびえ立ち、客席(1704席)が舞台を囲む“アリーナ(円形)形式”で配置されています。
古来の演奏会がそうであったように、互いの表情も見えるため、舞台と客席の隔たりを感じません。奏者と音楽、それを楽しむ観客が一体となれる共有空間がここにはあります。

舞台裏を公開
  1. 舞台袖
    壁には演奏家たちが貼った沢山のステッカー。歴史を刻むこの風習は、世界的なホールの証です。
  2. オーケストラホワイエ(楽団員の待機場所)
    舞台裏側につくられ、舞台の上手・下手につながっています。
  3. 楽屋
    大小8室ほどあり、中にはシャワールームが付いている部屋も。ホテルを思わせる高級感。
  4. 照明用調整室
    天井裏に設置。1機のお値段は数百万円だそうです。
壁を覆うステッカーの数々

壁を覆うステッカーの数々

オーケストラホワイエ

オーケストラホワイエ

楽屋

楽屋

照明用調整室

照明用調整室

“最上の響き”をつくる技術

大成建設はクラシックコンサートホールにとって“良い響き”とされる音響学上の数値をもとに、国内初のクラシック音楽専用ホールを完成させました。
コンサートホール建設では、ホールの形状、大きさ、材質等あらゆる要素が響きの良し悪しを左右するため、設計時にいかに数値的な検証が出来ているかが重要となります。さらに、ホール内の舞台や全ての客席において良い響きが得られることも要求されました。

そこで、大成建設技術センター内にホールを1/10に縮小した模型をつくり、その中で、例えば壁に凹凸をつけた時とつけない時で音響特性がどう変化するかなど、様々な音響実験を繰り返すことで図面には表れない音響効果まで把握しました。
得られたデータを参考に音響拡散体や反射板など様々に工夫を凝らし、理想とする響きの確保に成功しました。

次号にて、ザ・シンフォニーホールの響きを創り出した挑戦についてご紹介します。

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