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龍馬の志を知ってもらいたい。 Vol.024 高知県立 坂本龍馬記念館

桂浜の坂本龍馬像の近くに「高知県立 坂本龍馬記念館」があります。桂浜を一望できる丘の上に、青と赤の長方形をした箱が海に飛び立たんとしているかのように建っています。この記念館は1991年(平成3年)に完成しましたが、これも大成建設の仕事です。

記念館外観

記念館外観

今回は、館長の森健志郎様にお話を伺いました。

─現在、年間の来館者は何名ぐらいですか?

2007年3月には開館15年で200万人を突破し、現在でも年平均12万人〜13万人ぐらいの方が来館されています。旅行社のツアーでいらっしゃる方もいますが、県外の来館者が多く、最近では海外の方も増えてきています。
全体的に若い人が多く、リピーターも多いです。人生の節目、節目に龍馬へ報告しに来ているのかもしれません。

─報告にですか?

入館者の皆さまに龍馬へ宛てた手紙を書いて頂く「拝啓龍馬殿」というコーナーがありますが、その手紙には、大学受験の報告や就職の報告、結婚の報告などが書かれています。
桂浜の坂本龍馬像を見て、龍馬に“会った”と感じ、この記念館に展示されている龍馬の手紙を読み、龍馬の内面に“触れた”気持ちになって、龍馬も見た太平洋を眺めて“納得”して、手紙を書いて行かれるようです。

手紙には「勇気をもらった」「元気をもらった」「決断がつきました」「また来ます」などが書かれています。各自の胸にしまっている「親にも言えない」「友達にも言えない」ことを、龍馬へ伝えているようです。

─来館者にはシニアの方が多いと思っていました。
記念館館長 森健志郎様

記念館館長 森健志郎様

私は館長に就任して5年になりますが、一番影響を受けたのは来館される若い人たちの熱心さです。

私は高知新聞社を60歳で退職し、その後中国に2年間留学していました。帰国して暫くしてから館長就任のお話をいただいたのですが、当時坂本龍馬についてはほとんど知りませんでした。ただ、この記念館に足を踏み入れ、館内の太平洋を一望できる「空白のステージ」に立った時に、思い出深い中国のシルクロードを思い出し、タクマラカン砂漠と太平洋とが重なり、自然と龍馬の魅力の原点を理解できたような気がしたのです。

─この建物は斬新な外観ですね。

外観は大海に乗り出す船のイメージで、龍馬らしいと評判はいいです。大学の建築学科の学生さんも見学にいらっしゃいます。
2階部分はガラス張りになっており、ここからの眺望は素晴らしく、来館者の人気も高く水平線を見て癒されて帰られるようです。

記念館エントランス

記念館エントランス

記念館内から

記念館内から

記念館からの眺め
記念館からの眺め

記念館からの眺め

龍馬記念館完成までの経緯

1985年 龍馬生誕150年記念事業として募金活動開始
1988年 公開審査による公開設計コンペ
1990年 建設工事着工
1991年 竣工 開館

画像当時 現場所長 住友正樹氏
まず平面プランが複雑で、傾斜地を利用した計画をされており、施工者泣かせの工事だなという印象を受けました。
杭基礎工事から始まりますが、敷地に以前建っていた建物の基礎があり、大きく三段階に段差がついており作業が難航したことを覚えています。

掘削工事中は4度台風が接近し、掘削した部分に雨が貯まりプール状態になったこともありました。
総ガラス張りの2階は吊り橋構造で黒いケーブル1本で支えられています。当初の設計図書では、ケーブルをワイヤーの下部と上部に固定するとされていたのですが、意匠的におさまりが悪いこともあり、鞍馬状の鋳鋼を屋根に載せ1本に束ねたケーブルで両端部の浮いた部分を支えるという構造です。ケーブルを固定するボルトの締め付け部分が滑るのでは無いかという心配もあって、当社の技術センターでモックアップを作り実験を行うなど、プレストレスケーブル工事での緊張作業が構造的にユニークであったことが印象的です。

─2010年のNHK大河ドラマは「龍馬伝」でしたね。
龍馬郵便局

龍馬郵便局

今回の「龍馬伝」は龍馬を知っていただける良いチャンスでした。大河ドラマが始まる前に県内の小学校を巡回し、2・3年生の生徒さんに「龍馬は友達」という当館で制作したオリジナルの紙芝居を見てもらえる機会をつくるなど、龍馬の「志」を小学生や学校の先生に知ってもらい、それをきっかけに龍馬に興味を持ち、「龍馬伝」を見ていただきたいと考えておりました。

龍馬ポスト

龍馬ポスト

龍馬拓本

龍馬拓本

りょうまバス停

りょうまバス停

坂本家家紋

坂本家家紋

─2011年には開館20周年を迎えられるとのことですが、何か企画展を行われるのですか?

学芸員と話しあって連続企画を検討中です。
また、龍馬検定をインターネット上で行っています。初級(無料)、中級(有料)、上級(有料)と難易度が選択できますのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

坂本龍馬検定

─最後に龍馬記念館のPRをお願いします。

当初この記念館は「龍馬への入り口」として龍馬を知っていただくことが目的でした。数年が過ぎ記念館自体の存在が信頼されてきて、最近では坂本家の遠縁の方や関係者の遺族の方などが展示物としてさまざまなものを寄贈して下さるようになりました。記念館として充実してきています。

記念館内展示物

記念館内展示物

司馬遼太郎氏より銅像の龍馬へのメッセージ

司馬遼太郎氏より銅像の龍馬へのメッセージ

現在、この記念館の主眼は龍馬思想の継承と普及だと考えています。
龍馬を表現する場合、懐が深く、先見の明と決断力があると言われていますが、一番根底にあるのは“優しい”ということだと思います。その優しさの下地は平和と自由平等に行き着きます。
龍馬記念館を通して、坂本龍馬という人間の志を知っていただきたいです。ご来館お待ちしています。

画像

─本日はありがとうございました。

(取材 2008年9月16日)
(改訂 2010年11月)

名称

坂本龍馬記念館新築工事

発注者

龍馬生誕150年記念事業実行委員会

設計者

高橋 晶子・高橋 寛/ワークステーション

所在地

高知県高知市浦戸字城山830番地

竣工

1991年8月

延面積

1,787m2

URL

http://www.ryoma-kinenkan.jp/

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