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職員、患者や家族、地域住民の3つの視点で検討しました。

一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院
院長 田﨑 博一 様

分野

医療・福祉

─地域における貴院の役割についてお聞かせいただけますでしょうか?

当院は、精神科医療における地域の基幹病院という役割を担っていると考えています。ここでいう地域とは「医療圏」という単位と「県」という単位とがあります。

当地は行政的な二次医療圏で津軽地域に属しますが、精神科医療圏としては津軽と西北五の両二次医療圏を合わせた範囲、人口約42万人のエリアが、当院が所属し責任を持つ医療圏と捉えています。このエリアで各医療機関が、精神科医療に求められるさまざまな機能を分担するということになります。当院は精神科領域の救急・急性期医療を担当し、応急入院対応機関でもあります。また他医療機関で対応困難な治療抵抗性精神疾患についても電気けいれん治療法やクロザリル等を駆使して治療にあたっています。認知症に関しては認知症疾患医療センターの指定を受け、県や市町村、一般医療機関、関連事業所等と連携、協力体制を構築して地域の中心的な機関としての役割を果たしているところです。児童・青年期患者については専門外来を設置し、医師、心理職を中心とした多職種チームで治療及び支援にあたり、教育機関や行政機関との連携体制を構築しています。産業精神保健領域ではストレスチェック支援事業を展開するなど、地域の一般事業所等のメンタルヘルス対策を支援しています。
国の施策でもある入院患者の地域移行、地域生活支援については地域におけるニーズを的確に把握し、患者の健康や生活を脅かすことがないような体制構築を検討しているところです。今後、地域住民と精神障害者とが如何に共生していくかという課題を解決する必要があるでしょう。

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「県」という単位での役割は、津軽あるいは津軽・西北五地域を代表する機関として県の精神医療保健福祉政策立案に関わるということが挙げられます。そのためには地域内の医療機関、医療従事者、あるいは当事者や家族等との意思疎通、意見集約を行っておくことが必要です。また、他の医療圏関係者との交流、情報共有により県全体の精神医療の質を維持、向上を図ることも重要です。災害時における精神医療の確保が課題となっていますが、県外の災害に対応するDPATチームの準備、及び県内での相互補完的対応のための基幹病院としての準備も進めています。

─病棟再編プロジェクトの背景、どのような病院を目指したかお聞かせいただけますでしょうか?

プロジェクトの背景として最も重要なことは、精神科医療を取り巻く状況の変化です。人口減少、高齢化、医療費抑制といった、これまでの右肩上がりの状況とは全く異なる局面で如何にして病院を経営していくか、そのような社会で如何なる構造、機能の精神科病院が求められるかといった課題にチャレンジしていくためのベースとなる建物を作るということがプロジェクトの背景であり、目的です。病棟再編という名称を用いていますが、趣旨は病棟機能にとどまらず、病院全体の機能再編ということになります。
働く職員にとってどのような病院か、患者や家族などユーザーにとってどうか、地域住民から見てどうかという3つの視点で検討しました。「職員にとって働きやすい病院、自慢できる病院」「ユーザーにとっては居心地の良い病院」「地域にとっては親しみのある病院、頼りになる病院」といったところでしょうか。私自身が仕事をできるのはせいぜい20年です。20年の間に何が起こるかは分かりませんが、その間、ニーズに応えて機能してくれるような病院を目指しました。

─大成建設の提案を採用された理由をお聞かせいただけますでしょうか?

画像各社のプレゼンテーションを拝見し、上記の3つの視点に最もマッチする提案が大成建設のものであったということです。病院ですから、ユーザーの視点、つまり患者にとっての快適さ、安心感、あるいは治療的な安全性や合理性という点ではどの会社もそれなりの工夫をしてくれていました。利用者は確かに主役ですから、その視点がなければ病院として機能しません。しかし、私はそこで働く職員もまた主役であると考えています。大成建設が提案した最上階の職員スペースは、そのポイントを見事に突いてきました。「職員あっての病院である」というわれわれの思いを形にしてくれたと考えています。また、建物の顔、つまり、外から見える病院の造形はとても重要です。地域に対してどのようなスタンスで存在するか、どのようなメッセージを発しているか。建物の形、色合い、雰囲気、そういったものを総合的に評価し、提案がこの地に馴染むものであると感じました。

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─BIMについてはいかがでしたでしょうか?

このシステムは画期的でした。平面からわれわれ素人がイメージできるものは限られています。BIMによって、その場で実際のイメージを視覚的に捉えることができ、建築後に「考えていたものと違う」と感じることがほとんどありませんでした。

─施設を利用して感じたことをお聞かせいただけますでしょうか?

数字として病床利用率が高い水準を維持している。利用者個々から得られる評価は一律ではなく、病状、職員の対応等、さまざまな要因の影響を受けるので、再編によってどう変化したかを見きわめるのは容易ではありませんが、病床利用率上昇や新患・新入院の増加は再編の効果と考えてもよいのでしょう。業界関係者が見学に来ての感想はきわめて良好です。再編によって病院敷地全体が整備され、外から見たイメージもかなり変化したものと考えています。職員個々がどのように評価しているかは定かではありませんが、前述の利用者、職員、地域というそれぞれの視点から見ても、確実に肯定的な変化があったものと感じます。

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─当社の印象はいかがでしたでしょうか?

設計段階から建設中、竣工後の維持に至るまで、常に意見交換をしながら進めているということが画期的で、信頼関係を維持できていると考えています。共同作業という印象でした。病院業務と並行しての建設工事ということで、作業工程・進捗も目の当たりにできたことも信頼感を増長したものと思います。設計段階に女性スタッフも加わっていただいたことで、内装・外装の色調などきわめて有益な助言を得られたと考えています。建物、設備を使用しての若干の不備、問題はありましたが、全体として満足のいくものでした。

─今後の目標についてお聞かせいただけますでしょうか?

精神医療全般に関して、この津軽・西北五医療圏の機能を充実・維持させることです。この地に暮らす人々が、少なくとも精神医療に関しては何も困らないような体制を作ること。そのためには、各医療機関の連携と機能分担、医療資源(人材)の集約化、関連領域との意思疎通、相互協力などが必要です。また、医師をはじめとする人材確保は容易ではありません。医療機能に応じた適切な配分、集約化により、質の高い医療を確保できると考えています。

人口減少と人口構成の変化に注目しながら、精神科医療ニーズを的確に判断し、提供する医療サービスを考えていく必要があります。だたし、統合失調症等の精神疾患自体は一定の頻度で出現するので、基本的な医療ニーズは今後も持続します。国内のどこにいても同等の医療を受けられることが理想であり、そういったニーズに応えられるような医療の質の向上を常に考えていかなければなりません。職員のスキルアップのための戦略が必要です。一方、児童・青年期、産業精神保健、依存症など、これまで対応が不十分であった領域、他の医療機関が二の足を踏むような領域をカバーしていくことも必要で、これらの領域は今後、社会的なニーズが高まるものと予想されます。新たな領域での役割を発揮することで、人口減少による業務縮小を補うことになるでしょう。

─ありがとうございました。

(コンテンツ作成日 2017年10月)

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