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聖書に基づく「いのち・こころ・いやし(癒し)」を大切にする視点に立ちつつ、これからの社会を先導できる女性を育てる教育を目指しています。

学校法人 金城学院大学
理事長 戸田 安士 様

分野

教育・文化

時代に求められる女性を育成すること、地域社会の一員としての役割を担うこと
大学への多様なニーズに応えるキャンパスづくり
つねに時代に先駆け、地域と共生するキャンパス

キリスト教精神に基づいて、女性のための教育を行うことを目的として、1889年(明治22年)に創立された金城学院。現在では、「人類社会の癒しの担い手となる女性の育成」を祈りとして、幼稚園、中学校、高等学校、大学、そして大学院を通じて7500名の女性が学んでおり、その校風は、いまも8万名余の卒業生によって温かく支えられています。
私立金城女学校としての創立以来、学院は119年、大学設立から59年になり、2009年は、いよいよ、学院創立120周年、大学設立60周年という記念すべき節目を迎えようとしています。歴史の古い中学校、高等学校は都心に近い白壁キャンパスに、大学および幼稚園は、同じ市内でも、自然が豊かな大森キャンパスに分かれています。

大学の歴史は、新制大学としては59年ですが、女子高等教育機関としての金城女子専門学校の発足(1927年)から数えますと80年の時を刻んでおり、その間、幾多の改革が重ねられてきました。1997年以降の10年に限ってみても、それ以前の2学部から現在の5学部になり、2005年の薬学部設置は大学改革の歩みの象徴といえましょう。
時代の要請に応え続けようとする姿勢と眼差しは、当然、未来にも注がれており、キャンパス内の豊かな自然は、いまや、名古屋市内では貴重な里山となり、この自然環境を大切にしながら、時代から求められる新たな教育の環境と緑豊かな自然環境とが渾然一体となり、学問研究の薫り高い雰囲気をもったキャンパスを実現すべく、将来ビジョンの策定が進められています。

コミュニケーションからはじまる、コミュニケーションに溢れるキャンパスづくり

大学教育は、既存の知識だけでなく、それを駆使する課題解決能力を体得する必要性から、クラブ・サークル活動を含むキャンパスライフのほか、インターンシップやボランティア活動の実践を通じて学ぶことが重要です。そのためには、ロール・モデルとして教員や先輩から学びとることが多く、様々なことに好奇心をもつ若者であっても、キャンパスに長時間留まるようにしなければなりません。

そこで、彼女たちが、キャンパスに何を求めているのか、どういう条件が揃えば、自らキャンパスに居たいと思うのかを検討しました。キーワードはコミュニケーション。学生同士や教職員との対話が魅力的であることが、キャンパスの魅力になるのです。そのための中核的役割を果たす建物として、薬学部棟建設と同時に、共通教育棟の建設が行われました。
市道を挟んで東西二つのキャンパスの学部学生が学部を超えて共に会するスペースが出来て、東西の交流が盛んになり、全体としてキャンパスに活気が出てきました。

また、安全・安心なキャンパスであることは必要条件ですから、中学、高校、大学の必要な建物の耐震補強をほぼ完了しました。また、快適なキャンパスライフのための施設の保守改善、省エネルギー対策の一環としての井戸水の有効利用なども積極的に取り組まれています。

一方、次世代を担う女性の育成のため、将来ビジョン構築のための調査・研究が積極的に進められています。それは、学生、教職員、経営層など大学に関わる方々からの生の声を集め、要望や課題を明確化することからスタートし、それを基に、大森キャンパスの新たな将来ビジョンが生まれようとしています。それに続いて、白壁キャンパスのビジョンづくりも進められます。

金城学院大学正門

金城学院大学正門

金城学院大学夜景

金城学院大学夜景

インタビュー

金城学院大学をはじめ、高等学校、中学校、幼稚園のすべてを統括する学校法人金城学院の理事長である戸田安士様は、激動する社会の要請に応える教育共同体でありたいという願いから、教育と社会の実りある関係を追求し、学院の改革につねに前向きに取り組んでこられました。ここでは、戸田理事長様に、金城学院の中核となる金城学院大学の「いま」と「これから」を率直に伺いました。

─学部・学科の改組や新設に積極的に取り組んでいらっしゃいますね。
薬学部棟とランドルフ記念講堂

薬学部棟とランドルフ記念講堂

金城学院大学はこの10年間で大きく変貌しました。1997年に、3つ目の学部、現代文化学部の開設、1999年には、2つ目の大学院博士課程の人間生活学研究科の開設。2002年には、4つ目の学部、人間科学部の新設、家政学部の生活環境学部への改変および文学部の学科増設などを実施しました。さらに、2005年には、本学院の長年の夢だった薬学部薬学科を新設し、文系・社会系・理系の学部を擁する総合女子大学になりました。
これらのドラスティックな改革に一貫しているのは、時代に先駆けて女性のための新しい分野を開拓したいという願いでした。これらは「いのち・こころ・いやし」という理念の具体化の営みでした。

─「いのち・こころ・いやし」の追求とは具体的にはどのようなことなのでしょうか。

2002年に新設した人間科学部の現代子ども学科では、図らずも、全国に先駆けて「子ども」という言葉を学部・学科の名称に使う役割を果たしました。奇をてらったわけではなく、「児童」という言葉では捕えきれない、常に変化するリアルな「現代の子ども」の課題を学問の対象にしようと考えたからです。
「新しい酒には新しい革袋」が必要です。同じ学部の「芸術(表現)療法学科」についても同様で、音楽や絵画の表現活動を通じての癒し、それが身体的指標としても裏づけられる「芸術療法学」という学問体系を確立することを課題にしています。
また、生活環境学部に新設した「食環境栄養学科」は管理栄養師養成課程ですが、「食環境」という馴染みのない名称をつけたのは、ベストな栄養摂取は個人の努力だけではどうにもならない、すぐれて、望ましい「食環境」の構築にあるという考え方を基にした名称です。その重要性は、図らずも、最近の偽装食品の続出によって広く認識されました。

さらに、一番新しい薬学部は、名称こそ新しさはありませんが、チーム医療が不可欠になった現代医療の現場で、わが大学の教育目標である「強く、優しく」を体現した女性薬剤師を育てたいという切なる願いを専門教育に込めています。これはまさに「いのち・こころ・いやし」の象徴的な内実を持たせなければなりません。
人の全的健康は、WHOのいう「身体的、精神的、社会的、そして実存的に良好な状態」を意味しますから、「いのち」は、人の「からだ」、「こころ」、そして人間関係の「やわらぎ」なくしてはありえないのです。それが「いやし」につながることを理解する女性を世に送り出すことが、学部の使命です。

─いままで以上にこれからの社会や時代にコミットされようとしているとお見受けします。

正直に言って、理想にはほど遠いと思います。もっと進むべき方向性を明確にしなければなりません。学院創立120周年を期して、理事会で学院の将来ビジョンを明らかにする予定ですし、同時に、大学では、設立60周年を踏まえて、副学長のもとで進められている大学の将来ビジョンが取りまとめられる予定です。

理事会のビジョンの要点は、建学の精神を踏まえて、キリスト教教育、女性教育、国際理解教育をカリキュラムに具現化させることです。本学院の教育の究極の目標は、聖書の意味での「『新しい人』としての女性の育成」ということになります。
所属学校は、それぞれの教育スローガンを持っており、幼稚園は「光の子として歩みなさい」、中学・高校は「自立・自律・連帯」、そして大学は「強く、優しく」ですが、それぞれの発達段階に応じて立てられた、それらの教育スローガンは「新しい人」に収斂する性質のものです。

─「『新しい人』としての女性の育成」とはどのようなことなのでしょうか。
大学キャンパス内風景

大学キャンパス内風景

これをご説明するためには、この言葉の出典である新約聖書の一節を引用しなければなりません。
聖書に「キリストは、ご自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、・・・十字架によって敵意を滅ぼされました」という言葉があります。つまり、その「新しい人」とは「平和を実現する人」ということになります。平和といっても、大は国際平和から、小は、家庭や夫婦間の平和まで、いろんなレベルの平和があります。
また、平和を「関係の改善」と広く捉えるならば、自然との「関係の改善」ということでは、いまホットな環境問題と取り組む人も「新しい人」、「平和を実現する人」ということができます。対象がなんであれ、そこに和らぎをもたらす、関係を癒すのが、聖書のいう「新しい人」、「平和を実現する人」の意味です。
その役割において、女性は、男性より生得的に優れたものがあると思われますから、教育課程を通じて、この天与の特性をさらに伸長させることを学院教育、ひいては、大学の人間教育の基礎に据えたいと考えます。

─まさに、これからの社会で必要とされる人材との育成ということですね。

現代の教育で最も大切なことは、聖書でいう「信仰・希望・愛」だと思います。私は、それを「信ずること、望むこと、愛すること」と言い換えて、大成建設さんに建てていただいた薬学部棟の礎石に彫りこんでもらいました。これが、教育をする側の基本姿勢でなくてはならないと考えるからです。その姿勢が、教育を受ける側にも、信じ、望み、愛する姿勢を産み出します。この姿勢こそ、「新しい人」、「平和を実現する人」の基本的資質だと思うのです。

しかし、このためには、自分本位でなく自分を主張し、自分と他者との関係を和らげる寛容な心を育むことが大切です。そのために最も大切なことは、自分が愛されていることの発見です。
旧約聖書に、VIPの起源となるVery Important Person in God's eyesという言葉があります。どんな人でも、神の眼からみてVIPでない人はいないというメッセージこそ、現代の若者に知ってほしい真理です。そこから、向上心や物事をやりぬく自尊心self-esteemも生まれ、一方で、己れを絶対化する過ちから逃れることができると思うからです。

金城学院は、そうした女性を育てたいという切なる願いをもって進んでおります。

─金城学院様ならではの人材の育成にふさわしいキャンパスとはどのようなものでしょう。

これからすべきことは山積みです。ひとつは地域社会の一員として、地域の方たちが利用でき、地域に奉仕ができる拠点となりたいと考え新たな計画も進行中です。

地域との共生ということで言えば、26万平米(26ha)にも及ぶキャンパスの周辺は、区内でもここほどまとまった緑があるところはないと言われている場所です。八竜の池と呼ばれる自然保護区があり、マメナシという絶滅危惧種も群生している自然保護のシンボル的な場所でもあります。
また、キャンパスの敷地は第二次世界大戦当時、高射砲陣地でほとんど更地でしたが、学院の先輩たちが一本一本植林し、いまでは落葉樹の多い多様な植生をもつ立派な里山になっています。これも手入れを怠るとやがては常緑樹に覆われ、里山の環境は台無しになるかもしれません。地域の自然の魅力と学院の伝統の継承という視点からも、環境保全をしっかりやることが肝要だと思います。これは、創造主がつくられた自然を守っていくというキリスト教的な考えが根底にあります。

─学院をめぐる歴史と伝統がキャンパスに刻み込まれているということですね。
ランドルフ記念講堂

ランドルフ記念講堂

2009年は学院120年、大学60年を迎える歴史を振り返り、いまさらながらに、自然環境と構造物がひとつになって、古き良き伝統と建学の精神を目に見える形で残していくことの重要性を感じています。名古屋市内の白壁という歴史保存地区にある中学、高校は、建替えの場合は財政面や代替地の問題、改修の場合は授業をしながらの改修という技術的な問題があったのですが、伝統の継承、街並みとの共存という視点から、耐震補強、教室、トイレ、ロッカールームの改修を行い使い続けています。トイレでは生徒から改修のアイデアを募集することも試みました。ヨーロッパのように外観を残し内部をガラッとかえるような発想も必要ですね。施設の機能性は時代に即したものでなくてはいけませんが、建物、キャンパスの自然、伝統や歴史は、当校の大きな魅力です。自然、歴史、伝統のすべてがつながっているという感覚が、まさに「いのち・こころ・いやし」を大切にすることにつながっていくと思います。

─最後にこれからにキャンパスづくりにかける想いをお話ください。
薬学部棟

薬学部棟

将来ビジョンの重要性を痛感したことがあります。いまキャンパス内で利用する水の80%は井戸水ですが、かなりの省エネルギー効果があります。災害時には地域の需要のお役にも立てるでしょう。しかし、井戸水利用の設備を整備した際、屋上緑化や太陽光発電などを含めた、省エネルギーや災害対策をトータルに検討するところまで意識が及びませんでした。将来ビジョンがありそれに基づいて計画していれば可能だったかもしれません。常日頃から考えていないとすぐには行動できないものです。
更には、キャンパス全体に統一感がなくなり、緑やオープンスペースが減少する一方で、小規模な空き地が散在している、校舎間が遠くて移動が大変であるなど、直面している多様な問題点を解消するためにも、将来ビジョンの策定は重要であると考えています。

そこで、大成さんには将来ビジョンの方向性にブレがないよう、問題点を抽出するために、大学の多くの学生、教職員、理事会メンバーにもインタビューしていただき、今年の5月に「キャンパス計画イメージシナリオ」をまとめていただきました。
そのシナリオはキャンパスの中に関するものですが、それに周辺との関係を加味し、これから求められる女性像を熟慮しつつ、明確なビジョンを描き、全学で共有し、改革のパッションをもち続けられること・・・構成員全体がビジョンを共有できる組織づくりやアクションプランへと着実に展開していかなければならないと肝に銘じています。

─どうも有難うございました。

(取材日 2007年9月)

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