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中分子医薬とは 中分子医薬品製造施設の考え方について

中分子医薬品製造施設

分野

医薬品, その他(製造業)

課題

研究施設, 新工場計画

中分子医薬品は、これから急速に発展する分野であり、開発から臨床試験、承認申請、患者への提供までの過程を早急に整備する必要があります。プロセス構築やスケールアップを図るために、安全衛生面、法規面、運用面や機器設計について、当社にご相談頂くことも少なくありません。
ここでは、中分子医薬品の概略と合成法、施設の考え方と大成建設の取り組みについてご紹介します。

中分子医薬品とは

19世紀の終わりに化学合成された解熱鎮痛剤が発売されてから百余年、化学合成された医薬品で人類は多くの病を克服してきました。そして現代では、化学合成法によりペプチド医薬や核酸医薬、生物的合成法によりバイオ医薬品や細胞医薬等が生産されています。
これらは分子量で低分子医薬品、中分子医薬品、高分子医薬品の3つに分類できます。

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低分子医薬品は、作用機序(薬が身体でどのように作用するか)が明確であり、細胞膜透過性に優れ、細胞内へも入り込み薬効を現しますが、標的選択性(薬が特定の部位に作用する程度のこと)が低いため副作用があり、経済的に有益な創薬ターゲットも枯渇してきています。
高分子医薬品は、標的選択性に優れ、副作用が少なく、高い効果が期待できますが、標的は細胞外のみのため創薬ターゲットが少ないことが懸念されています。

現在、低分子医薬品と高分子医薬品の長所を併せ持つ中分子医薬品が注目されています。中分子医薬品は、従来の医薬品では狙えない細胞内の標的をターゲットにでき、標的選択性が高いため副作用が少ないと考えられることから、革新的医薬品として期待されています。

中分子医薬品の合成法

中分子医薬品にはペプチド医薬品と核酸医薬品があります。原材料は異なりますが、ペプチドはアミノ酸、核酸医薬はヌクレオチドを伸長した鎖状の分子で、合成法には固相合成法と液相合成法があります。今回は中分子医薬品のうちペプチド医薬品について説明します。

  • 液相合成法
    溶媒の中でアミノ酸を縮合しペプチドを合成する方法です。原料を過剰に仕込み、アミノ酸を縮合する度に抽出・精製を必要とします。
  • 固相合成法
    レジンを固相として用い、このレジンにアミノ酸を固定化し、ペプチドを伸長します。目的とする配列の鎖長までペプチドを伸長したら、ペプチドをレジンから切り出します。液相合成と同様に原料や溶媒を多量に使いますが、過剰の原料や副生成物は洗浄によって簡便に除くことができるため、煩雑な操作は不要であり、少ない手間で目的物が得られます。

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ペプチドの合成・精製

ペプチド医薬品の合成と精製は次の通りです。

  • 合成工程
    反応タンクへレジンと保護アミノ酸と活性化剤を入れ、活性化した保護アミノ酸をレジンにカップリングさせます。レジン上の合成末端のうち未反応部位が残ると不要なペプチドが出来るためキャッピングします。アミノ酸の保護基を脱保護し、保護アミノ酸を活性化させカップリングさせます。以後は目的物のペプチドを得るまで同様の工程を繰り返します。合成を終えたらペプチドをレジンから切出します。
  • 精製工程
    切出剤を除くため貧溶媒によりペプチドを沈殿させ、ろ過、洗浄の後乾燥し、粗製ペプチドを得ます。粗製ペプチドを溶解しクロマトグラフィーにより精製、ろ過、濃縮を経て凍結乾燥し精製ペプチドを得ます。

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中分子医薬品製造施設計画の課題

中分子医薬品製造施設建設では、合成エリアと精製エリアに対して、(1)危険物、(2)高薬理活性、(3)清浄度の観点で適切な計画が必要です。

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(1)危険物への対応

可燃性の溶媒を多用するため、薬液供給からろ過・洗浄・乾燥及び凍結乾燥前のろ過・濃縮をする設備は危険物対策を考慮する必要があります。特に乾燥時、濃縮時は溶媒が多量揮発するので蒸気濃度が爆発限界濃度にならないように、希釈若しくは速やかに排気する設備を設けることが必要です。

(2)高薬理活性への対策

ペプチド医薬品は高薬理活性があり、レジンからペプチドを切出す反応タンク以降の工程から凍結乾燥する設備までは封じ込め対策します。製品に対する交叉汚染だけでなく、作業者に対する安全衛生の観点からリスクを低減した施設・設備計画が必要です。

(3)清浄度の管理

医薬品原薬として品質を確保するために、清浄度管理が必要です。全てのエリアをクリーンルームとすると、ランニングコストが高くなり、また運用面や管理する上でも負担になります。
例えば、濃縮の前にフィルターによるろ過を行い、この工程以降を清浄度管理が必要なエリアとすることで管理上や設備上の負担を軽減できます。

上記で述べたことは課題のごく一部であり、この他に原材料やレジンの仕込みや運用等についても適切に計画しなければなりません。

エンジニアリング本部 ライフサイエンスプロポーザル部 第1プロポーザル室 尾方 良平

画像大成建設では、様々な医薬品製造施設の企画・計画から設計・施工・保守/メンテナンスまでフルフェーズでサポートをしてきました。
また、高活性対応施設に対して、リスクマネジメント手法に基づいた分析・評価を行い、封じ込め装置の選定から、装置破たん時、不適切な手順や人的ミスによって発生しうるリスクも漏れなく抽出・評価して、受容できるレベルまで低減させる1次バリア、さらに2次バリア・3次バリアと複数のバリアまで構築した実績もあります。
また、医薬品工場・半導体工場など様々なレベルのクリーンルームを数多く新設・改修しています。

これまでに培ってきた技術と数多くの医薬品製造施設を建設したノウハウにより、中分子医薬品製造施設建設においても、お客様の製造や運用に対する姿勢や考え方を踏まえ、施設のあるべき姿を考え、最適なプロセスや設備を実現するための適正なレイアウトと設備、システムを提供できると考えております。

(コンテンツ作成日 2018年10月)

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