ホーム - 事例ライブラリ[人のための施設] - 医療・福祉 - 大成建設 医療・医薬営業本部

画像

医療施設計画部 精神科病院向け講演活動報告

大成建設 医療・医薬営業本部

分野

医療・福祉

課題

施設計画, リニューアル

はじめに

大成建設には現在「医療・医薬営業本部」があります。この部門は、医療福祉を専門とする企画・営業部門として遡ること30年前にエンジニアリング本部で始まりました。30年の歩みの中、医療福祉を取り巻く環境は激変し、更に私どもには専門性が求められるようになり、その要望に応えるべく、15年程前より精神科病院に特化したスタッフを擁するようになりました。

2004年に出された「精神保健医療福祉の改革ビジョン(以下、改革ビジョン)」以来、精神科病院を取り巻く環境も大きく変わり、病床稼働率の低下・平均在院日数の短期化・入院患者の高齢化が進み、政策的にも実態としても病床削減が避けられない状況です。
このような流れの中、大成建設では精神科病院のあるべき姿を描きながら、「永続的な経営につなげる施設計画」を趣旨とした講演活動を行っています。

講演では、医療政策の方向性、地域の実情を踏まえ、良好な経営環境を構築するための施設計画を実現すべく、最新の情報や具体的な事例を交えた話をしており、その一部を以下に紹介します。

過去の講演活動とトピックス

日本精神科医学会 学術教育研修会〔熊本〕事務部門(以下、熊本講演)

2016.10 230病院 324名出席

熊本講演では、近年の精神医療を取り巻く環境の変化についてデータを用いて述べるとともに、当社の企画から設計・施工までの流れと実績を紹介しました。

2016年以降、精神科病院の入院患者は「3か月未満の急性期」「一年未満の回復期」「一年以上の慢性期」「一年以上で社会復帰対象となりえる」の4つに区分されるようになりました。
当社の強みは、この4つの区分それぞれの患者数を基に、将来の病棟構成を提案できることであり、この点は適正投資の観点からも重要であることを説明しました。(図1)

図1 施設計画の考え方

図1 施設計画の考え方

福岡県精神科病院協会事務長会(以下、福岡講演)

2017.11 68病院 94名出席

第七次医療計画において「熊本講演で示した4区分の考え方が基準病床数の算定根拠になる」という情報を事前に得たため、その算定式を流用して各医療圏ごとの将来患者推計や各々の病院の病棟構成が提案できるロジックを説明しました。(図2-1、2-2、2-3)

図2-1 精神病床の新基準病床数

図2-1 精神病床の新基準病床数

図2-2 全国の基盤整備量(精神病床)

図2-2 全国の基盤整備量(精神病床)

図2-3 慢性期の入院需要と地域移行に伴う基盤整備量(精神病床)

図2-3 慢性期の入院需要と地域移行に伴う基盤整備量(精神病床)

東京都精神科病院協会事務長会(以下、東京講演)

2018.6 (出席病院及び出席者数は非公表)

福岡講演で「国は、入院一年以上の統合失調症患者は治療抵抗性統合失調症治療薬(クロザピン)の普及により退院が促進され、入院受療率が低下する」ことを基準病床数の算定式に反映すると説明しました。そこで国公表のクロザピン使用率データ(図3-1)と、九州の某病院のクロザピン投与実績データを紹介しました。(図3-2)
当該データはクロザピンの投与データが少ない中で、貴重な実績と考えています。

図3-1 全国のクロザピン使用率

図3-1 全国のクロザピン使用率

図3-2 クロザピン投与実績例

図3-2 クロザピン投与実績例

高知県精神科病院事務長会(以下、高知講演)

2019.2 17病院 51名出席

東京セミナーの内容を踏襲した説明を行いました。さらに高知県の状況を踏まえた精神科医療の方向性を述べました。

講演活動の内容を具現化した事例

図4 弘前愛成会病院の施設計画

図4 弘前愛成会病院の施設計画

このような講演活動を行っていますが、その内容の全てを具現化した事例の一つが「弘前愛成会病院」です。この病院の施設計画のポイントは主に4つです。(図4)

既存病棟を外来棟に改修することで建設投資を圧縮

当該病院には前面道路に面して、病棟と手狭な外来がありました。前面道路に面している位置には本来入り易い外来を配置すべきと考え、病棟を外来に改修することで外来の拡張を行いました。このことは結果として建設投資の圧縮を実現しています。

既存残病棟に慢性期系病棟を集約して将来の病床規模縮小に備える

敷地奥にある既存病棟はまだ新しい建物であることに着目し、慢性期系病棟を集約し、将来の施設化など医療環境の変化に対応する建物と位置付けました。慢性期系病棟への投資を控えることで、新病棟建設に投資を集中させ、メリハリのある投資を行いました。

急性期系病棟の建設及び新たな疾患への対応で特徴ある医療を具現化

改革ビジョンでは「将来的には病室・病床(ユニット)単位で柔軟に実施できる体制を目指す」と示されていました。そこで急性期系の病棟は4つのユニット(保護室ユニット、疾患別ユニット×2ユニット、ストレスケアユニット)で構成するプランとしました。このことは、密な医療の提供と疾患別の専門対応を可能にしました。

職場環境の向上

新病棟の最上階にはスカイテラス・職員食堂を作り、職場環境の向上を狙いました。どの地域でも看護職員の確保が非常に難しい現状、職員を大切にする環境づくりは働き手のモチベーション向上に繋がると、評価をいただきました。

詳しくは下記、事例をご覧ください。

一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院

まとめ

大成建設では、「経営」「運用」「施設」の3つの視点で施設計画を考えていますが、それはモノづくりのためだけではなく、医療業界の発展に寄与することを願っているからです。今回紹介した講演活動も、精神医療環境の向上に少しでも役に立てればという思いで行っています。
私たちは、精神科病院づくりのベスト・パートナーを目指して、これからも活動を続けていきます。

(コンテンツ作成日 2019年4月)

※本コンテンツに記載された情報(役職、数値、固有名詞等)は初掲載時のものであり、
閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

同じ分野の事例を見る

同じ課題の事例を見る