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投資バランスの取れた病院再編計画で患者もスタッフも安全で快適な環境を実現

一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院

分野

医療・福祉

課題

施設計画, リニューアル

STEP1:投資を抑えて新しい顔をつくる「エントランス/外来コンバージョン」

精神科病院の建設における留意点の中には、他科の病院建設とは異なる部分が多々あります。当社は、コンサルティングを担当するソリューション営業本部医療福祉計画グループと設計部門を持っていますが、その中でも精神科病院を専門とするチームがあり、細やかな配慮が行き届いた提案ができます。ソリューション営業本部医療福祉計画グループの担当者は、入念な調査およびヒアリングを実施し、10年後の病院を見据え、病院の医業収益を算出。その将来予測をもとに、収益を増やすには、どのように投資すると効果的かを検討し、投資・収益のバランスが取れた建替え計画を提示しました。
それが新外来棟へのアプローチのため、道路に面してフェンスで仕切られていた箇所に車寄せとエントランスを増築し「病院の新しい顔」をつくること、そして“本来、要件に入っていなかった”外来棟を魅力的に生まれ変わらせる提案につながったのです。

庇の下の階段は前面通路から既存フロアまでの1.5mのレベル差を解消している

庇の下の階段は前面通路から既存フロアまでの1.5mのレベル差を解消している

最初に考えたのは、手狭な外来の拡張をどうするかです。弘前愛成会病院では、前面道路に面した場所に外来棟と認知症の病棟がありました。本来病棟は落ち着いた場所に位置することが好ましく、前面道路に面している必要が無いことに着目し、病棟を手狭な外来の拡張として外来にコンバージョンしました。
このことは結果として、建設費の圧縮につながっています。また、不安を抱える患者が来院しやすいように、既存外来棟と新外来棟(既存認知症病棟)の間に明るいエントランスを増築しました。ひさしと本体のエキスパンションとして設ける空間には、弘前という土地柄に合わせてリンゴをデザインしました。ピンク色の明るい色彩と相まって、人々を和ませる役割を果たします。

エキスバンション部では「りんごのまち弘前」を表現

エキスバンション部では「りんごのまち弘前」を表現

透明感のあるエントランスホールはギャラリーやバス待合として使われる

透明感のあるエントランスホールはギャラリーやバス待合として使われる

ホテルのロビーのような待合ホール。天井の高い空間は、改修前、病棟のデイルームとして使われていました。デイルームとしては落ち着かず、居心地が良いとは言いがたいスペースでしたが、吹き抜けの空間を生かした高級感あふれる魅力的な待合ホールに生まれ変わりました。

吹き抜け空間を有効に活用した待合ホール

吹き抜け空間を有効に活用した待合ホール

待合ホールでは容態に合わせて場所を選べるように様々な家具を誂えた

待合ホールでは容態に合わせて場所を選べるように様々な家具を誂えた

中庭の植栽はアイランド状に配置し歩き回って触れられるようにした

中庭の植栽はアイランド状に配置し歩き回って触れられるようにした

無機質で殺風景なアスファルト舗装の中庭は、眺める人に癒やしを与える空間にコンバージョンしました。中庭を散歩し樹木に触れることができるように、植栽はアイランド状に配置しました。

改修前(中庭)

改修前(中庭)

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改修後(中庭)

改修後(中庭)

これらの外来コンバージョンは設計担当が最も苦労した部分であり、病院側に最も喜ばれた部分でもありました。

STEP2:快適な療養環境づくり「外来棟・新病棟の動線と機能分化」

精神科病院にはさまざまな症状の患者が訪れます。容態の異なる患者をできる限り交錯させないことが重要になります。また、自傷・他害の危険がある急性期患者など、密な看守りが必要なケースもあります。そのような急性期患者をスタッフがケアしやすいように院内空間・諸室配置を工夫しました。

1階平面図

1階平面図

外来棟は外周に診察・検査・管理部門を配置。患者の動線はすべて中庭に面しており、迷わず目的地にたどり着けます。また、外来患者は時計回り、入院患者は反時計回りの動線とし、互いが交錯しないレイアウトになっています。

2階平面図

2階平面図

新病棟は十字形のユニット型病棟とし、年齢、性別などさまざまなニーズに応じて患者層を区分できる構造となっています。

急性期治療病棟として運用する2階フロアに35床の個室を確保したほか、3階の精神一般病棟、4階の認知症治療病棟にも個室を充実させました。居心地のよいプライベート空間を用意したことで、ストレスなど新しい疾患へも柔軟に対応。さらに多床室も準個室として運用できる形状とし、快適に療養できる環境を実現しました。

個室

個室

多床室

多床室

当社は、病院の負担を可能な限り軽減することを念頭に、通常のローリング計画では5年かかるところを2年で完了させ、さらに設備・入院患者などの院内移動も1度で済むように調整しました。これらの設計において、負担が少ないローリング計画を提案したことも今回の建替えの大きなポイントです。

STEP3:職員確保に設計の立場から貢献「スタッフ専用エリア」

見晴らしのよい場所をあえて職員食堂スペースにしたのは設計部門のアイデアです。職員確保に課題を抱えている病院に、設計の立場からできることはないかと担当者は考えました。

スカイテラス(職員食堂)

スカイテラス(職員食堂)

屋外デッキから臨む岩木山

屋外デッキから臨む岩木山

「職員確保に効果があるのは給与と福利厚生です。そのうち、給与は当然ながら私たちが関与できるものではありません。だから、福利厚生─それだけで価値があるような居心地のよい環境、ここで働きたい、働き続けたいと思ってもらえるような空間を作ることで貢献したいと考えました」(大成建設・設計担当者)

この設計担当者の考えは、「職員あっての病院である」という病院側経営層の考え方にも合っていました。スカイテラスは現在、設計担当者と病院経営者の期待通り、職員たちの憩いの場として活用されています。屋上デッキからの岩木山の素晴らしい眺望は、休憩中の職員の癒やしになっています。

5階平面図

5階平面図

期待にこたえた大成建設のさまざまな工夫

当社のソリューション営業本部医療福祉計画グループが、病院と設計を取り持つ「通訳」の役割を担い、顧客の希望を最大限に取り入れました。言葉で説明しにくいことや、要望として提示されたものが顧客の目的に適っているかなど、ヒアリングを通して言葉にされない細部までを読み取り設計に伝えます。

計画進行中もコンセンサスを得るため工夫しました。よりリアルに想像してもらえるように、平面の設計図面ではなく、3DのBIMを用意しました。タブレットに表示された3DのBIMは設計図面を見たことがないという人にも分かりやすく完成イメージの共有に役立ち、活発な意見交換にもつながりました。

随所に当社が蓄積してきたノウハウを取り入れる一方で「新しい感性」も取り入れました。「病院らしくない」新鮮なカラーリングには、若手設計担当者の新しい感性が光ります。これまでの病院のイメージを塗り替える色使いは、病院関係者の皆様に喜んでいただけただけでなく、地域にも親しみをもって受け入れられています。

ゆったりとしたスペースを確保できた中待合室

ゆったりとしたスペースを確保できた中待合室

ピンクの色彩で患者・家族をやさしく迎える相談カウンター

ピンクの色彩で患者・家族をやさしく迎える相談カウンター

一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院
院長 田﨑 博一 様

設計段階から建設中、竣工後の維持に至るまで、常に意見交換をしながら進めていることが画期的だと感じました。大成建設との「共同作業」という印象で、信頼関係が築けました。病院を運営しながらの建設工事ということで、作業工程・進捗を近くから見ていられたことでも信頼感は深まりました。全体として満足しています。 今後は、精神医療全般について機能を充実・維持し、この地に暮らす人々が、少なくとも精神医療に関しては何も困らないような体制を作っていきたいと考えています。

(コンテンツ作成日 2017年8月)

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