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土木とデザインの融合から風景と技術を創出

土木本部 土木設計部 設計計画室
関 文夫

分野

その他

テーマ

環境・自然

風景を創る仕事

欧州の風景と日本の風景は何が違うのでしょう。
欧州には、路上の石畳の上に設けられたカフェや郊外の田園風景など、美しい風景があります。

日本の街並みは、全国フランチャイズのお店の看板が並び、地域性の無い同じ風景が広がっています。また、田園風景には、コンクリートの壁と鋼製のガードレールが広がり、のどかな風景が失われています。

欧州の風景には、道路、街路樹、家並みといった人々の生活に密着したものを大切にし、通信、上下水、電気、ガスといったライフラインを地下化することで、便利さと景観的価値を両立させています。モノづくりではなく、風景づくりを行っているのです。

建設会社として、モノづくりは責務ですが、風景を創るという視点からモノづくりをすると、答えはモノだけではない新しいアイデアが生まれます。モノが見えない造り方とか、モノより人を築くといった新しいモノづくりが見えてきます。後世に風景を残す、風景を創る仕事をしています。

土木×デザイン

土木といってイメージするものは何でしょう?道路、鉄道、ダム、トンネル、橋、発電所、空港、港、サーキット、サッカー場、みんな土木の仕事です。人々の生命を守り、生活を豊かにすることが土木の仕事です。そんな土木のフィールドは広く、種類も多く、目にするもの、日常的に使うものも多いのです。皆さんは、自宅からオフィスへの移動は、どうしますか?道路、ホーム、電車、ほとんど土木空間を利用しているのです。

これまで、土木空間は、機能とコストを優先して造られて来ましたが、デザインという概念を導入すると空間が豊かになります。先進の欧州では、この思想は少し先を走っているだけなのです。どうせなら、気持ちのいい道を走りたい、美しい橋を眺めながら話したい、海の見える空間で休みたい、ゆっくりと歩きたい・・・。人々の生活を豊かにするフィールドは、いっぱいあります。

私どもは、こうした土木空間をデザインすることにより、工学的機能だけではなく、空間本来の機能を見つめなおし、人々にとって豊かな空間を創り出す仕事をしています。季節の変化と共に橋の表情が変化する橋、美しい空間を通り抜けるトンネル、散歩したくなる道路など、この場にしかない美しさ、この場を愛する気持ち、この場の独特の体験、こうした視点から空間を創造した土木空間をお届けしたいです。

鳴門西PA周辺プロジェクト(2002年グッドデザイン賞 経済大臣賞金賞受賞)

鳴門西PA周辺プロジェクト(2002年グッドデザイン賞 経済大臣賞金賞受賞)

鳴門西PAカルバートデザイン

鳴門西PAカルバートデザイン

伝統技術を現代技術として翻訳する

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かつて、土木は、普請技術として城郭の石垣や、河川の護岸から始まり、「まるごと石」をとても大切に扱ってきました。時代の流れと共に、「まるごと石」は、コンクリートにその座を明渡し、現在では構造材としてほとんど使われていません。

今、土木空間をデザインする材料として「まるごと石」に注目しています。この「まるごと石」は、目的が完了すれば、次の材料として再利用できます。しかも、鋼やコンクリートのようにCO2を放出することがほとんどなく、現代の環境材料としても注目しています。

城郭の石垣などは、空石積み擁壁といって、裏にコンクリートのない砕石、石だけの構造のものです。数百年の経過した中で、今も健全に残る石垣は多く、排水機能に優れ、全体がゆっくりと変形し、急な破壊の無い構造物です。この技術を現代技術で翻訳する。実験、解析と研究を続ける中で、「匠の技を翻訳する」ことができてきました。先人の知恵を現代技術として評価しています。詳細は、論文(PDF)を参照してください。

空石積みの解析結果(DDA)

空石積みの解析結果(DDA)

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また、次に注目した技術は、「森をつくる」技術です。土木では、地形を大幅に改変することが多く、その新しい斜面をのり面といいますが、表土を剥ぎ取り、硬い地表で残された山のことです。この山に森をつくるというのは大変なことなのです。

雨が降れば、土は流されるので工学的に何らかの補強をしたい、環境的には植生遷移を期待したい。これまでは、工学的な視点が優先され、金網を山に固定し、その上に数センチの土を吹いて、外来草本を発芽させていました。

アシを用いたのり面緑化と自然配植技術(森づくり)

アシを用いたのり面緑化と
自然配植技術(森づくり)

しかし今、工学的強度を少し低減し、環境技術を優先する手法として、ヨシ、アシ、ワラなどを用いた押伏せ工を復活させました。植物のケイ酸質を利用し、土壌コロイドを早期に形成させる技術です。硬い地表面を、少しでも早く柔らかくし草本が繁殖することで、流出防止を図るものです。森を再生するための技術は、自然配植技術を利用し、樹木の配置(プログラム)を考えた手法を行っています。

こうした伝統技術から、環境負荷の少ない建設技術を現代技術として社会に届けたいと思っています。

石積み擁壁の道路構造物への適用に対する課題と展望[PDF/168KB]

プロフィール

画像関 文夫(せき ふみお)
橋梁技術者として、現場、設計を往来した後、デザイン活動を行い、土木設計家へ。橋梁、土工、河川、道路、環境など幅広いデザイン活動を勤しむ。構造デザインと環境デザインの融合から新しい土木デザインの分野を提案。

土木学会景観・デザイン委員会委員兼幹事
土木学会景観・デザイン委員会研究発表編集小委員会発表会担当副委員長
京都大学非常勤講師

土木本部 土木設計部 設計計画室配属 技術士 PC技士

<賞>
1998年度 日本コンクリート工学協会作品賞受賞 「雷電廿六木橋」
1999年 グッドデザイン賞 施設部門受賞 「雷電廿六木橋」
2002年 グッドデザイン賞 経済産業大臣賞金賞受賞 「鳴門パーキングエリア工事」
2002年度 日本コンクリート工学協会2002年度作品賞受賞 「ばんどうドイツ橋」
2003年 グッドデザイン賞 建築・環境部門受賞 「酒田みらい橋」 
2004年度 土木学会デザイン賞優秀賞 「鳴門西パーキングエリア」

※本コンテンツに記載された情報(役職、数値、固有名詞等)は初掲載時のものであり、
閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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