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ダイオキシンの汚染土壌に効果的「白色腐朽菌」 ─生物機能を理解し環境に生かす─

技術センター 建築技術研究所 環境マネジメント研究室
斎藤 祐二

分野

食品, 医薬品, ものづくり, 医療・福祉, データセンター

テーマ

環境・自然, テクノロジー

カビや細菌など日常の生活の中で遭遇する微生物は、汚れや悪臭の原因となる場面が多く、一見悪役に思われがちです。しかし、微生物の中には特殊な機能を持つものが数多く確認されており、すでに医薬品や健康食品、さらには洗剤等の日常品といった広い分野で利用されています。

私は入社以来、微生物をベースとした研究を進めてきましたが、その目標は「生物機能を理解し環境に生かす」ことです。

今まで手がけてきた研究として

  • 油脂分解菌を用いた厨房排水処理システム
  • 生分解性ポリマーの発酵合成
  • 白色腐朽菌を用いたダイオキシン類等環境汚染の浄化

があります。

上記の「生分解性ポリマーの発酵合成」は、ある特殊な微生物が自身の細胞内にプラスチック原料となるポリマーを蓄積することを利用したものです。微生物が合成するので、微生物でも分解ができるということです。これが工業化できればプラスチックによる破棄物問題解決の切り札となる可能性がありました。

当時、畑違いのゼネコンの一研究員でありがなら、その可能性を研究したいという思いから権威の先生に弟子入りし、3年間基礎研究を進めてきました。
先生のご指導のお蔭で特殊な微生物を発見し、新しい分子構造のポリマーを見出すこともできました。

現在、生分解性プラスチックの世界は、微生物による合成と分解メカニズムを理解することで、化学合成、工業化へと発展し、環境素材としての地位を得ています。

画像現在進めている研究は、「白色腐朽菌」というキノコの一種を用いた環境浄化技術です。
森林を歩くと倒れた木が白く腐っているのを目にしますが、これは白色腐朽菌が木材中のリグニンを分解しているためです。鉄筋コンクリートの建物に例えるとリグニンはセメントのような役目をしています。リグニンは複雑な化学結合からなるため分解が非常に難しいと言われていますが、「白色腐朽菌」はこのリグニンをも分解することができます。

この優れた分解力を利用し、ダイオキシン等の化学物質で汚染された環境を浄化する研究が国内外で進められています。私たちは数年前からこの研究を開始し、野生の白色腐朽菌からダイオキシン分解可能なものをスクリーニングすることができました。

ベンチスケール(白色腐朽菌を培養する装置)

ベンチスケール
(白色腐朽菌を培養する装置)

また、その白色腐朽菌が生成する酵素を用いた汚染土壌浄化技術を目指して研究を進めています。
トライ&エラーの連続で胃が痛くなる毎日ですが、漸く良好な結果が得られつつあります。今後は、そのメカニズムを深く理解することと実用化が大きな課題です。

微生物の中には、非常に有用な機能を持つものが存在します。その機能を見出すことや機能を十二分に発揮させる諸条件を整備することが非常に難しい反面、これこそが研究の醍醐味でもあります。
また、環境問題は地域レベルでの汚染から、地球レベルでの温暖化へと領域が拡大しつつあり、生物への期待は今以上に拡大することでしょう。
一研究者ではありますが、今後は生物を核としてエネルギー問題にもチャレンジしたいと考えています。

プロフィール

画像斎藤 祐二
技術センター 建築技術研究所 環境マネジメント研究室 室長
1987年入社 工学博士 技術士(総合技術監理、衛生工学)環境計量士

化学、生物関連の研究及び現業支援に従事。
現在はダイオキシン汚染土壌浄化、バイオエタノール製造に関する研究を進めている。休日は少年サッカーのコーチとして地域活動にも参加。

※本コンテンツに記載された情報(役職、数値、固有名詞等)は初掲載時のものであり、
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