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震災を教訓として貴社の物流を再検討しませんか?

エンジニアリング本部 IT・ソリューショングループ グループリーダー
大村 直明

分野

食品, 医薬品, ものづくり, 医療・福祉, データセンター

テーマ

ビジネスチャレンジ

地震、津波、原発事故と、甚大な被害をもたらした東日本大震災。今回の震災から企業はさまざまな基準を見直そうとしています。大成建設は以前より事業継続計画(BCP)の重要性をお伝えしてきましたが、今回は物流におけるBCM強化と今求められている物流という経営インフラの最適化について、エンジニアリング本部IT・ソリューショングループの大村グループリーダーにお話を伺いました。

─大成建設が「物流」というと、物流施設を作るの?と思ってしまうのですが。

大成建設では、もともとは物流施設を建設する事を行ってきました。しかし1990年代前半から物流施設を作る上での要件出しからお願いしたいというお客様からの要望が増えてきたことをきっかけに、物流コンサルティング分野にも参画する事となりました。
更にコンサルティングを開始した数年後に「運用」までやらなければお客様への本当のサポートとは言えないことや、絶えず顧客と運営を通じ接していないと、顧客のビジネスを取り巻く外部環境・内部環境の変化やそれによって顧客が抱える悩みまでは共有できないという事に気がつき3PL事業(物流受託事業)を行うことになりました。

現在、コンサルティングの実績は約100社・150件を超え、3PL事業の実績は医薬・食品を中心に30社を超えています。私達のIT・ソリューショングループでは、「コンサルティング」「設計」「運営」と全方位的にワンストップで物流に関するお悩みに応えることが可能な体制がつくられています。

物流ソリューションの基本メニュー

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物流ソリューション代表実績

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─東日本大震災以降、物流に関してお客様からのお問い合わせが増えているとお聞きしています。どういった内容が多いのでしょうか。

東日本大震災の直後より停電や断水により生産現場では生産供給・ライン停止、サプライチェーンの分断などさまざまな被害が伝えられました。また、医療機関に薬が届かないなど、物流ライフラインが寸断されるというマスコミ報道がありました。
この報道をうけて物流は専門業者様へアウトソーシングするという考えをお持ちだった製薬会社様も、お客様に届くまで安定供給し続けるという社会的使命を帯びている事実を再認識されたように思います。

そこで、各企業様は次の震災に備えるためにも、建物のみではなく、マテハン設備、ITインフラ、輸配送網の寸断等の障害が起こった際に納品先への安定供給を実現する最も合理的な代替運用を事前に検討(BCP)されています。

─具体的には、どのような検討が進められているのでしょう。

今回の震災の実体験として5つの点があげられます。

  1. 復旧までの時間の設定
  2. 製品を選別しての在庫配置を検討
  3. 代替の物流ネットワーク(輸配送網)
  4. 倉庫管理システムのクラウド化
  5. 既存施設への地震対策

特に各所で被害が発生した既存の自動倉庫等の自動化設備に対する検討については、ゼネコンとして、設計本部、エンジニアリング本部、技術センターなど社内各部署を含めオール大成での検討を行っています。

─大成建設は医薬品製造施設エンジニアリングにおいて業界NO.1ですが、製造施設づくりから物流(3PL)まで広範囲に渡り依頼を受けていた企業様もありますよね。

ゼネコンでは唯一、製薬会社様から物流業務を受託していますし、今回の震災発生後物流が途切れることなく納品することが出来ました。今回の震災で一般の路線物流網だけに頼っていた企業様で商品を届けられなくて困ったというお話も伺いました。一般的な物流インフラを中心に活用していると、不特定多数の顧客の注文が震災時に集中し復旧するのに時間がかかってしまったことが要因です。

その点、当社が築いている物流ネットワークは、同じエリアに運ぶにも利用する運送会社を2社準備したり、専属の車両を確保したりしながら、常日頃からバックアップ体制を強く意識したインフラを構築することを心掛けています。今回の震災でもスムーズに通常の体制に戻る事が出来ました。

大成建設では、2003年に物流の運営受託会社(3PL)「ネットワーク・アライアンス株式会社(NAC)」を設立し、“荷主の立場”に立った最適な物流運営を行っています

大成建設では、2003年に物流の運営受託会社(3PL)「ネットワーク・アライアンス株式会社(NAC)」を設立し、“荷主の立場”に立った最適な物流運営を行っています。(拡大)

代替輸送ネットワークの確保

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─物流を考える上で、今、重要な視点にはどのような事がありますか?
工場建設計画に伴う物流課題

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いろいろな視点がありますが、大きくは3つかと思います。

  1. 過去に設定した条件が、環境の変化を正しく捉えているか(条件の再設定)
    近年はM&Aなどにより企業をとりまく環境が大きく変化する企業も増えています。その際の課題として過去に1社で構築した物流などのインフラの見直しが必要になり、もう1社合わせ2社として与条件やコストを中立的にジャッジする必要が出てきます。
  2. アセット(倉庫等の物流資産)を気にせず、あるべき姿を追求する視点をもてるか
    コンサルティングを依頼された企業の与条件を紐解いていくと、特定のアセットをイメージして検討しては、折角あるべき姿を白紙から検討するのに制約条件が入り、最適解が導けなくなってしまいます。
  3. ITも含めた運営体制を再構築できるか
    サプライチェーンを意識した運営体制への移行や近年のIT分野の発達を見越しながら最近では利便性や安全性を考えてデータセンターにデータを預けたりすることも視野に入れることが大切です。特にこの分野は今後増える事が予想されます。
─さまざまな事に対応できるのですね。

物流を考える際には経験が大事になります。IT・ソリューショングループには私の様な機械工学科出身や経営システム工学科出身、電気工学科出身など多分野の人間がおり、日々意見を戦わせています。
メンバー一同でさまざまな事例に対応した経験がありますから、お任せいただければ適切な物流システムへ導けます。

─他にはどのような提案をしていらっしゃいますか。
工場計画における物流拠点投資パターン

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80年代にコスト削減の手段として物流をアウトソーシングする企業が増えました。しかし、アウトソーシングは企業の形態によっては必ずしも正解ではないということが言えます。アウトソーシングした企業はそれを知る者が社内にいなくなるため、業務プロセスがブラックボックス化してしまっているのではないでしょうか。サプライチェーンのコントロールが効かなくなり、自ら主導して業務改善を図ることが難しくなってしまっているのです。またアウトソーシングすると、その費用はまるまるコストになってはね返ります。
長期にわたって変化がなく追加投資を必要としないような機能・施設は、自社で持っておいたほうが有利なのです。
このようにさまざまな企業に見合った物流のあり方を見直し提案する事が多くなっています。

─物流ソリューションの面白さは何ですか?またこれから大成建設の物流が目指す方向性は?

顧客と一体化し、経験を活かしながら1つではない答えを導き出していくことが面白いです。コストを削減など、お客様の要望に応えるためではありますが、お客様のものを自分のもののように紐解いて自由に組み替えていくことができるのが魅力です。最適解を導いていく手法はありますが、やはり経験が大事です。
これからは、私たちゼネコン自体も社会の要請に合わせて、物流も自らのコントロール下にする方向で動いていくかも知れませんね。

─本日はありがとうございました。

(取材日 2011年8月30日)

プロフィール

画像大村直明
エンジニアリング本部 IT・ソリューショングループ グループリーダー
理工学研究科機械工学専攻修士課程修了

エンジニアリング本部に所属し、20数年数多くの物流コンサルティングや物流施設計画を担当、物流運営会社(NAC:ネットワーク・アライアンス社)立ち上げにも従事。

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