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遠隔操作でアスベスト除去 ─健康被害をもたらさない、より安心・安全な社会を目指して─

技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室 工法システムチーム
森 直樹

分野

食品, 医薬品, ものづくり, 医療・福祉, データセンター

テーマ

セキュリティ・セーフティ, テクノロジー

『アスベスト』といいますと今では近づきたくもない『負の遺産』として扱われております。
しかしその語源『永遠不滅の』という意味にもありますように、アスベストは、不燃性や耐火性、断熱性、吸音性などに優れていますので、昭和30年代から昭和60年代にかけて、建築物の天井や壁、柱、梁などに非常に重用されてきました。
しかしながら、年数を経て劣化していくうちに、表面からアスベスト繊維が空気中に浮遊飛散し、肺ガンや中皮腫、石綿肺といった人体の健康に悪影響を与える要因となることが指摘されるようになりました。

このような社会的な問題にまで発展してくると、できる限り早期に我々の生活の場から排除してしまうことが緊急な課題だと考えています。

現在、アスベストの除去工事は防塵マスクや保護衣を着用した完全防備の専門の作業員が、密閉された室内に隔離されて、ケレン棒やワイヤーブラシなどの工具を使ってアスベストを除去しています。
これはアスベストを取り除くという根本的な解決には繋がりますが、手作業で除去するわけですから、その作業員にとっては健康被害と隣り合わせになっているわけです。

また多大なる手間を要してしまい、工事費の高騰を招いてしまうことも否めません。これではアスベスト問題の解決に対して大きな障害となります。

私達は「健康被害をもたらすような危険を伴う場所では人間が作業してはいけない」という考えのもとで、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「緊急アスベスト削減実用化基盤技術開発」プロジェクトに応募し、選考の結果、我々の提案した「吹付けアスベスト無人化除去・回収工法の実用化に関する研究開発」が1年間という短期間での研究開発を進めることに決定しました。

アスベスト除去ロボットによるアスベスト除去作業(現場実証)

アスベスト除去ロボットによる
アスベスト除去作業(現場実証)

2006年4月に当プロジェクトが開始されましたが、開発当初は遠隔操作によるロボットを使って、高圧水の噴射によりアスベストを剥離・除去することぐらいまでしか提案が定まっておらず、ロボットのベースマシンや高圧水の噴射ノズルといった具体的な仕様を決定するまでに約半年間が必要となりました。そして、実質的に装置類の試作や改造は2007年9月頃から始まり、実験室レベルでの実証評価は残りの半年間が勝負となりました。

短期間で開発成果を上げるために、開発当初より社内において研究開発スタッフを構成し、共に汗をかきながら論議を交わしてきた結果、「遠隔操作によるアスベスト除去ロボットを使った乾式系の柔らかいアスベストの無人化除去・回収システム」を開発することができました。

遠隔操作によるアスベスト除去ロボットを使った
乾式系の柔らかいアスベストの無人化除去・回収システムの特徴

  • 危険なアスベスト除去作業区域内に作業員が入ることの少ない『安全な』システム
  • アスベストを除去する際に、高圧水のほかに特殊な研磨剤等を同時に噴射することで『効率良く除去できる』システム
  • 高圧水の噴射ノズルの噴射角度を調整でき、赤ちゃんの紙おむつの原料となる高分子吸収剤を利用して水浸対策を行っている
  • アスベスト回収時には破砕したアスベストをバキューム装置を使って所定の廃棄袋に袋詰めしますので、嵩張ることなく減容化された廃棄コストの削減にも繋がる

上記のような研究開発成果が出たことで、平成19年度NEDO継続研究として、2007年10月に当社の晴海倉庫解体工事現場での乾式系吹付けアスベスト除去工事において、初めて作業区域外からの遠隔操作によるアスベスト除去ロボットを使った実証試験を行いました。

何もかもが初めてのこともあって、いたるところにも気を配る毎日でしたが無事終了することができ、今回の現場での実証試験についてNHKのニュースに取り上げて頂いたことは開発担当者として大きなステップアップとなりました。

さらに平成19年度、新たにNEDO委託事業「アスベスト含有建材等安全回収・処理等技術開発」プロジェクトに参画しており、湿式系の固いアスベストの無人化除去・回収システムの開発にも着手しております。本研究開発の成果につきましても追々御報告が出来るよう尽力してまいりますのでご期待ください。

乾式系吹付けアスベスト無人化除去・回収システムの流れ
乾式系吹付けアスベスト無人化除去・回収システムの流れ

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プロフィール

画像森 直樹
技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室 工法システムチーム
チームリーダー

1984年入社 環境関連全般の研究開発に従事
(アスベスト、クリーンルーム、自然エネルギー(太陽電池、燃料電池)等)
現在は主にアスベスト関連、及びヒートアイランド対策技術の開発を進めている。

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