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歴史に残る伝統建築プロジェクトに、これからも邁進します。

設計本部建築グループ(歴史・伝統建築)
松尾 浩樹

分野

その他

テーマ

空間創造, 環境・自然

今年、西暦2010年は平城京遷都から1300年にあたる記念すべき年です。企画された各種記念事業が様々なメディアを賑わせ、中でも平城宮最大の宮殿である「大極殿」は9年かけて復元され、伝統建築の優美さや先人たちの技術力の高さが再認識されたことは記憶に新しいところです。

大成建設では現在、2011年2月の完成を目指して香川県高松市仏生山町にある仏生山法然寺において五重塔建立プロジェクトに取り組んでいます。今回は、歴史・伝統建築の設計グループリーダーとしてこのプロジェクトを牽引している松尾グループリーダーにお話を伺いました。

完成図

完成図

─「仏生山法然寺五重塔」建立プロジェクトも、いよいよ大詰めのようですが。

はい、今年3月に無事に上棟式を執り行い、最後の仕上げ段階に入っています。5年前にスタートした仏生山法然寺五重塔の新築計画は、大成建設と私自身にとって、初めて五重塔の設計施工に携わることになった貴重なプロジェクトでした。その後、各地の五重塔建立プロジェクトを受注することもでき、大変恵まれた機会をいただけて感謝しています。来年の完成が待ち遠しいです。

身延山久遠寺五重塔

身延山久遠寺五重塔
(2008年10月完成/山梨県)
設計:文化財建造物保存技術協会

飯沼観音五重塔

飯沼観音五重塔
(2008年12月完成/千葉県)
設計:日本建築清水研究室

願昭寺五重塔

願昭寺五重塔
(2010年11月完成予定/大阪府)
自社設計

─いつ頃から伝統建築に携わっていらっしゃるのですか。

大学では都市計画と意匠設計を学び、大成建設に入社してからは主にホテルを担当する設計グループに所属していました。
ある時、和風旅館の増築プロジェクトの担当となり、コンクリート造ではありましたが、内装に木をふんだんに使う建築に初めて携わりました。木の知識に関して一から勉強しなければならず大変でしたが、今までのコンクリート造とは異なる木造建築の独特な世界に魅了され、すっかり虜になりました。

どうにかして木造建築に関わる仕事がしたいと切望していた頃、社内で伝統建築を担当する設計メンバーの公募がありました。まさに絶好のタイミングであり自ら志願した結果、幸運なことに設計メンバーになることが出来、1998年から本格的に伝統建築に携わるようになりました。

古いお寺の建築技術や歴史的背景など、知れば知るほど面白いことばかりですが、日本の建築史と同様に日本の歴史や文化史の知識もさらに必要になり勉強の毎日です。今では休日に史跡巡りをするなど、自分の興味も広がっています。

─それほど木造建築に惹かれる理由は何でしょう。

私が幼い頃、父が製材所に勤めており、家に隣接して材木工場があったため木に囲まれて成長しました。昔から木が最も身近な存在であったことが多少は影響しているのかもしれません。木には温もりや香りがあり、無機質ではないところが好きですね。また性質上、成形や修正の自由度が高くリサイクルが可能な環境にやさしい自然素材であるなど、沢山の優れた点を持っています。

─環境配慮の観点からも木が見直されているように感じますが、いかがですか?
木の原寸検査の様子

木の原寸検査の様子

近年、木造建築がCO2削減へ貢献するなどその有効性が見直されています。また、法的な制約も見直されて木造で建てることの可能性が広がってきています。
しかし、伝統構法の分野では構造的にまだ解明されていないことが多く、古来より受け継がれてきた大工さんの技術を十分に発揮できない部分もあります。当社の技術力と組織力を駆使して伝統木造を普及させる為の新しい提案ができればと思います。

─伝統建築に関する大成建設の取り組みはいかがですか。

設計、施工、営業、技術センターの各部門の有志で歴史・伝統建築ワーキンググループを構成し、定期的に歴史・伝統建築に関する様々な情報や意見交換を積極的に行っています。
また、昨年10月には営業本部と建築総本部で社寺専門部を立ち上げています。社寺建築分野の強化を図り、総合的なソリューションへと結び付けています。

─他には、どのような強みがあるのでしょう。

我々のグループでは、社寺建築に代表される伝統建築以外に、明治期以降の歴史的建造物の保存・活用にも力を注いでいます。大成建設は、現在では企業や学校の記念的な建物となっている歴史的建造物を大倉土木時代から数多く手掛けてきました。これらの実績を礎とし、お客様の意向に沿った保存・活用の提案を行っています。

─最後に、今後取り組みたいことはありますか。

木造建築の伝統構法に現代の構法を融合させることのメリットを実証するためにも、構造設計との連携により新たな設計技術を構築し、社寺に代表される伝統木造建築を一棟でも多く未来に残せていければと思います。
地図に残り、歴史に残る伝統建築プロジェクトに携われることは私の誇りであり、これからも邁進していきます。

プロフィール

画像松尾 浩樹
設計本部建築Ⅴ群(歴史・伝統建築担当)グループリーダー
1988年入社 一級建築士

主な作品
2001 法海山天聖寺位牌堂
2002 身代り不動尊東京別院
2003 胡禄神社社務所
2003 寶光寺庫裡
2006 弘照院鳳凰五百羅漢堂
2006 宮殿寺山門
2007 東京カテドラル聖マリア大聖堂改修(BELCA賞受賞)
2010 身代り不動尊川崎本院
2011 法然寺五重塔(竣工予定)

※本コンテンツに記載された情報(役職、数値、固有名詞等)は初掲載時のものであり、
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