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大成建設のリニューアル特集 第9回 リニューアルテーマ「立体自動倉庫の地震対策」─既存立体倉庫の減災とサプライチェーンの対策へ

今できることから始める対策と制震装置の導入要件

立体自動倉庫の地震対策は

  • まずは主要因被害である、荷の落下を防ぐ
  • 荷が落下してしまったとしても、二次被害を防ぎ迅速な復旧が行えるようにする

と、大きく2つのアプローチが考えられます。
基本となる荷落下の対策は、建物やラックの揺れを抑えることが最も効果的であり、それには免震の適用が最も優れた効果を発揮すると思われます。このため、新規に建設する立体自動倉庫では免震倉庫とするケースも少なくありません。
一方で、今稼働している既存の立体自動倉庫への免震の適用は、施工中における倉庫の可動の可否やコストの面など様々な課題があります。そのため、まずは、震度5程度でも発生しうる立体自動倉庫被害に対し、「今できる」リスク対策を「複数組み合わせる」ことによって着実に実施していくことと言えるでしょう。

こうした対策に加えて、ラックの揺れにブレーキをかける制震装置を導入すれば、それぞれの対策の効果を更に高めることができます。

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※保管物の形状、ラックの形式、設置フロー等によって必要な対策は異なります。対策の最終確定には、詳細な調査が必要です。

既存の立体自動倉庫への制震装置の導入要件としては

  1. 倉庫を稼働させながらの設置が可能か
  2. 幅広い地震の揺れ方に対応できるか
  3. ラックの大きさや荷物の配置(保管状況)によらず十分な効果を発揮できるか

があげられます。
大成建設は、既存倉庫の機能を使って容易に設置でき、これらの要件を満たすユニット型マスダンパー方式の制震装置の開発を進めてきました。

ラックの揺れを抑える「制震マスダンパーユニット」

今回開発した制震マスダンパーユニットは、上部に設置した錘(おもり:マス)がラックの揺れと逆方向に働くことでラックの揺れを小さくする、省スペースで設置も容易な制震ユニットです。
ラックの揺れの特性にとらわれない構造で、幅広い地震の揺れ方に対応でき、大きな制震効果を発揮して荷物の落下を大幅に抑制します。

制震マスダンパーユニットの設置

制震マスダンパーユニットの設置(拡大)
既設の立体倉庫であっても、スタッカークレーンを使って通常の荷揚げルーチンで取り付けることが可能です。

ラック最上部への追加設置で、地震によるラックの揺れを大幅に低減。新設、既存を問わず導入が可能なユニット型制震装置です。

ラック最上部への追加設置で、地震によるラックの揺れを大幅に低減。新設、既存を問わず導入が可能なユニット型制震装置です。

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主な特徴として

  • 新設、既設を問わず導入が可能
  • スタッカークレーンを使って倉庫を使用しながらの設置が可能
  • 周期の異なる幅広い地震の揺れ方にも対応
  • ラックの大きさや荷物の保管状況によらず効果を発揮
  • 立体自動倉庫のタイプ(一体型(ビル式)、分離型(ユニット式))を問わず導入可能

が、あげられます。
また当社は、制震マスダンパーユニットの効果を最大限に発揮できるように、地盤や周辺の地震環境の解析から、ラックの振動解析、効果シミュレーションなど、導入検討における全てのフェーズでお客様をご支援します。

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尚、導入検討のご支援にあたっては、ユーザー様との協働が不可欠です。それは、真に最適な対策への取組には、

  • どの対策がどんなリスクをどの程度低減してくれるのか?
  • 残ったリスクにはどう対応していくのか?

など、対象とするリスクへの考え方や、それが発生した後の対策などを踏まえて、目標性能を一緒に検討していく必要があるからです。
考えなければならないのは荷の落下を完全に防止することではなく、「事業継続性(BC)」の観点から、可能な限り荷落下を低減して最小限に留めることで「立体自動倉庫」の機能回復をいかに早くするかということです。

新開発の「制震マスダンパーユニット」は、ラックの揺れそのものを抑える根本的な対策を、導入における様々な課題をクリアして既存の立体自動倉庫にも適用できる技術のひとつです。前述の様々な対策のベースとして導入することで、大きな相乗効果を生むことが期待されます。

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ところで、新開発の制震マスダンパーユニットの効果も、実際に地震が発生した際に正しく動作することが大前提です。そのためには、日常の業務や倉庫の運営、管理、メンテナンスにも「BC」の視点を持って取り組むことが大切です

サプライチェーンの対策に向けて ─ 点の対策から線・面の対策へ

これまで述べてきた立体自動倉庫の地震対策は、被害そのものを防ぐうえでも、もちろん大切ですが、本来の目的である「流通機能」の早期再開を考えると、施設単独での対策だけでは十分とは言えないでしょう。

今回の震災は様々な教訓を残しています。
揺れが広域にわたったこと、本震の後も強い余震や関連地震が広範囲で長く続いたこと、液状化や津波といった災害を引き起こしたこと等によって広域にわたりサプライチェーンが各所で寸断されました。
このことから、事業継続の観点で「製品を出荷する」という本来の目的を果たすために、点から線、線から面といった流通全体を視野に入れた対策が必要になってきます。

拠点再配置のイメージ

拠点再配置のイメージ
関東-関西の2拠点だけでなく、さらに広域での拠点を検討する必要性が生じています。

  • 「在庫基準」の見直し
    事業継続性の視点から、主力商品とそうでない商品の選別や在庫数量など、優先度に応じた在庫基準の再設定。
  • 「拠点間距離」と「在庫配置」
    今回の震災のような広域影響や、台風や河川の氾濫など、他のリスクも考慮した拠点の再評価。
  • 「相互補完」の構築
    業種によるサプライチェーン上の特徴を活かしつつ、それぞれの機能を相互に補完する仕組みの構築。

などの検討も進めていく必要があるでしょう。

事業継続視点での地震対策の総合ソリューション

事業継続視点での地震対策の総合ソリューション(拡大)
それぞれを独立した対策として行うのではなく、全体の目標の中で個別の施策と全体の施策を反映しあいながら実施していきます。

各企業において大震災の教訓を活かし、事業継続性の視点からサプライチェーンの見直しを実施することは、経営にも深く関係するマネジメントとなってきます。
これが「BCMは経営と一体」と言われる理由であり、BCMは経営戦略そのものなのです。

「制震マスダンパーユニット」効果検証を実験!

Taisin Net 大成建設の地震対策Webサイト立体自動倉庫向け制震マスダンパーユニット
制震マスダンパーユニットとは

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