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FM(ファシリティマネジメント)特集 コンセプトプラニング 第3回 コンセプトプランニングの採用事例─アミューズメント施設編

大成ブリーフィング手法「コンセプトプランニング」のプロセスは、以下の4章で構成されており、お客様と設計者がともに理解できるブリーフ(設計与条件書)を作成することで、ブレのない施設づくりを実現します。

  • 第1章 ニーズの顕在化:大成建設のオリジナルインタビュー手法「T-PALET」による個別インタビューを実施
  • 第2章 方針の検討:チームディスカッション・課題の整理・課題の共有
  • 第3章 方針の確立:要求条件整理・シーンのストーリー(物語)化
  • 第4章 ブリーフの完成:目標の明確化・コンセプト構築・要求条件と制約条件の明文化

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今号では、株式会社サンシャインシティ様が管理・運営される「サンシャイン水族館」のリニューアル計画※1において、その構想段階でコンセプトプランニングを採用した事例とともに、コンセプトプランニングのプロセス(第1章から第4章まで)の具体的な内容について、詳しくご紹介してまいります。

※1 サンシャイン水族館は、2010年9月〜2011年7月にかけて旧水族館「サンシャイン国際水族館」を全館リニューアルし、「サンシャイン水族館」と改称して2011年8月にグランドオープンしました。

第1章 ニーズの顕在化:個別インタビュー手法「T-PALET」を実施し、ニーズを引き出します

心理学を応用した個別インタビュー手法「T-PALET」を活用し、大成建設の専門スタッフがお客様の施設に関する環境やワークスタイルについて、さまざまな部署・役職の方々に一人ずつ本音をお聞きします。
T-PALETをはじめて5分も経つと、お話をする方のエンジンがかかり、自然とその方ならではの話題が広く展開されていきます。個別に抱えている要望や考え方を詳しくお聞きし、ニーズを引き出します。

株式会社サンシャインシティ ご担当者さまへの個別インタビューで顕在化したニーズ(一例)
  • 水中の生物と一体感が感じられるとよい。
    ⇒お客様が、自分も水の中に入っている感覚を持ってもらえるようにしたい。
  • 都心のビルにある水族館という条件を生かした施設づくりをする。
    ⇒生物に接する機会の少ない都会の人々が、様々な生き物に出会え、生き物の自然な姿を楽しめる水族館にしたい。
  • 単に展示を見せるだけでなく、施設全体で楽しめる水族館にする。
  • 来館者を歓迎する演出や、ワクワク感を盛り上げるエントランスにする。
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営業推進本部 ライフサイクルケア推進部 FM推進室 丸山 玄

画像水族館をはじめ、ミュージアムやアミューズメント施設を計画する際に行うT-PALET調査では、スタッフはもちろん、来館者の方々からも幅広いたくさんのご意見をお聞きします。特に、

  • 来館者の満足感を高め、再び来館する動機につなげるための工夫がほしい
  • 高齢の方やお子様の立場で考えたときに浮かび上がる課題を何とかしたい
  • 施設を出たあとでも興醒めしない(余韻に浸れる)演出が必要

などの意見をよくお伺いします。
これらはミュージアムやアミューズメント施設を計画するうえで重要なポイントであり、サンシャイン水族館の計画時にも検討課題の一部に含まれました。

第2章 方針の検討:チームディスカッションを行い、課題を整理・共有し今後の分析方針を検討します

お客様の個別ニーズを伺ったあと、そのまますぐに設計者が計画図面や絵を描いてみせると、例えば通路・出入り口の位置など、施設計画の細部についてのディスカッションを行いがちです。
コンセプトプランニングでは、T-PALETを用いて引き出したニーズをもとに、「将来的に実現したいことは何なのか」、「そのために施設はどういう風につくることが大事であるのか」など、ディスカッションすべき「真のテーマ」を明確にしたうえで、皆で話し合いをスタートし、具体的な要望や課題を整理し共有していきます。

サンシャインシティ様のケースでは、チームディスカッションにおいて次のような要望や課題を共有・意見交換しながら、その後の方針を検討されました。

チームディスカッションで共有・意見交換されたテーマ(一例)

・ビルの屋上で、非日常空間を構築したい ・イベントやショーの時以外にも、お客様と触れ合える機会を増やしたい ・エレベーターを降りたところからリゾート地のような設えで、明るく開放的な雰囲気を演出したい

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ディスカッションを行った結果、「都会にありながらリゾート気分を満喫できる水族館をつくる」、「現場担当のスタッフが、来館者といっそう触れ合える機会をもてる空間をつくる」など、目指すべき新しい水族館の姿が明らかになりました。

第3章 方針の確立:「理想の施設に本当に必要なこと」=要求条件を整理し、シーンのストーリーを描きます

第2章で行ったディスカッションの結果をストーリー(物語)として書き起こし整理します。
前述のサンシャインシティ様のチームディスカッションで得た意見をストーリー化した結果、次のようになりました。

チームディスカッション結果をまとめたストーリー(一部抜粋)

「エレベーターに乗り込み、いざ、水族館へ!
最上階に到着して扉が開くと、目の前には砂浜のような明るい空間・・・
波の音、安らぎの音楽・・・(続く)」

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箇条書きでポイントだけをまとめるよりも、ポイントをストーリー(物語)に織り込んで書き起こすことで、将来の施設で実際に起こりうるさまざまなシーンを、各人がより具体的にイメージすることができます。また、それらを皆で共有することで、いっそう具体的でブレのない施設計画をまとめることができます。

第4章 ブリーフの完成:コンセプトを構築し、要求条件と制約条件を明確にします

ストーリー(物語)を書き起こしメンバー間で読み合わせていくことで「本当に理想的な施設のあり方」を明確にし、ブリーフを完成します。抽出され明確となった「思い」を、設計者にしっかりと伝え共有することが大切です。

サンシャイン水族館のリニューアル計画では、コンセプトプランニングの第3章までの実施を大成建設がお手伝いさせていただきました。
その後、外部協力を交え、サンシャインシティ様のグループ社内でタスクフォースチームを立ち上げて様々に検討を重ね、「天空のオアシス」をコンセプトに大人も子どもも楽しめる非日常空間を目指した施設計画が完成しました。

「天空のオアシス」をコンセプトに誕生した新水族館

2011年にグランドオープンした「サンシャイン水族館」は、子どもから大人までターゲットを問わない水族館として、多種多様な生き物の生命の営みを見せることを基軸に、まったく新しい非日常空間として「癒し」「安らぎ」「くつろぎ」、そして「ココロ動かす、発見」を提供する“大人にも満足していただける”水族館として新たに誕生しました。

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株式会社サンシャインエンタプライズ
カスタマーコミュニケーション部長 藤田 宗克 様

画像今回のプロジェクトがまだ構想の初期段階のころ、部門の垣根を越えて皆で「どんな水族館をつくりたいのか?」という視点で話し合う機会が欲しかったときに、大成建設のオリジナルインタビュー手法「T-PALET」を提案いただき実施いたしました。

個別インタビューで私たちの思いを第三者の方に聞いていただき、筋道立ててまとめてもらうことで、皆が感覚的に思っていた「意識すべきことや課題」を洗い出すことができました。
そして、コンセプトプランニングのプロセスを段階ごとに進め、私たちの「本当にやりたいこと、やるべきこと」を体系的にプロが検証する貴重な機会となりました。

パンフレットのご案内

画像本記事でご紹介した内容について、パンフレットをご用意しております。お気軽にお問合せください。

ご請求は、下記「お問い合わせ/資料請求フォーム」よりお寄せください。
※請求されるパンフレットの名称を必ずご記入ください。

  • パンフレット名「コンセプトプランニング」

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事例ライブラリ[人のための施設]

株式会社サンシャインシティ サンシャイン水族館

都心にある水族館を“大人も子どもも楽しめる非日常空間”へとリニューアルしたい。

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お客様の声

株式会社サンシャインエンタプライズ
カスタマーコミュニケーション部長 藤田 宗克 様

幅広い専門家の協働によって、私たちの想いをともに具現化していただきました。