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大成建設の災害対策ソリューション 第5回 BCP策定までの4つのステップ─フェーズ4「運用と改善」

BCP策定までのアプローチについて、大成建設では次の4つのステップに沿って進めることを推奨しています。

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最終回である「フェーズ4 運用と改善」では、実効性の高いBCPの運用を維持するため、策定したBCPをもとに組織がどのように活動すべきかを「平常時」「非常時」「復旧時」の3段階に分けて検証します。
(※これまでの特集第1回〜第4回と併せてご覧ください)

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「平常時」には、来るべきリスクに備えた活動を!

(1)訓練の実施

特定した中核事業が目標復旧時間に再開可能かどうか、訓練を通して確認します。訓練の種類としては、

  • BCP文書の読み合わせ
  • 参集訓練
  • 初動対応訓練
  • 代替生産への切り替え訓練
  • 復旧訓練

など様々です。
訓練の対象者・目的・評価項目を明確にし、評価結果を次回の訓練に生かすことで、役職員の対応力の向上につながります。

(2)計画書・手順書・マニュアルを作成
災害時対応マニュアルの作成(イメージ)

災害時対応マニュアルの作成(イメージ)

訓練の結果や被災事例などを参考に、各段階で使用する計画書・手順書・マニュアルなどを作成します。特に、初動における連絡体制の整備は重要であり、

  • 連絡対象者は最新か
  • 連絡手段は複数あるか
  • 参集すべきスキルと必要人数は適切か

などを常に見直し、最新の状態に更新することが初動対応力の向上につながります。

(3)事前対策の実施

事前対策計画に基づいて減災対策を実施し、

  • リスクがどこまで低減されたか
  • 他にどのようなリスクが残っているか
  • 新たなリスクはないか
などを検証し、リスク管理を実施します。

また、非常時に必要な資機材・食料品などの備蓄や、被災した施設の復旧に必要な図面の整備もこの段階で行います。
最新の図面の有無は、スムーズな復旧が行えるかどうかに大きく影響するため、図面の管理を確実に行っておくことも重要です。

図面を電子化して一元管理する方法も考えられます。これをシステム化したものは、CAFM(キャフム)と呼ばれています(CAFM:Computer Aided Facility Management)。

図面を電子化して一元管理する方法も考えられます。
これをシステム化したものは、CAFM(キャフム)と呼ばれています(CAFM:Computer Aided Facility Management)。

(4)リスクの発生をモニタリング

素早い情報収集により、発生したリスクに対応することで被災を最小限に抑えることができます。そのために、リスクをモニタリングする組織や体制を整え、例えば、「どのようなリスクが発生すると、中核事業のどのプロセスに、どんな影響を及ぼすか」をまとめた一覧表を作成し、被災状況を予想しておくことが有効です。

非常時には、確実な初動対応を行うための活動を!

(1)従業員の安否確認

地震や火災など、突然発生する災害においては、特に従業員の安否確認が必須です。社員の他にパートタイマーなど多くの人が働く工場では、全員の安否確認をどのように行うかを事前に取り決め、訓練を行うことが重要です。

(2)被災状況の確認

自社の被災状況だけではなく、ライフライン(電気・上下水道・通信・ガス・電話・道路など)、サプライヤ、顧客の被災状況も確認します。より広範囲な被災状況を確認することで、市場における重要製品の動向が分析でき、製品需要の変化を予測することができます。

(3)リスクに対するインパクト評価

発生したリスクが中核事業にどのようなインパクトを与えるかを評価します。被災情報も加味して再開の見通しを予測し、目標復旧時間とのギャップを分析します。その結果を意思決定者に提示し、代替手段が必要かどうか判断を仰ぎます。代替手段が決定された際には、対応手順書に沿って行動します。

復旧時は、代替・応急体制から平常時へとスムーズに移行するための活動を!

復旧計画に沿って被災箇所の修復を行う際、

  • どこをどの順番で直すか(優先順位づけ)
  • どの程度まで復旧するか(進捗管理)
  • どのように平常時の体制に切り替えるか(意思決定)

といったポイントを抑えることが大切です。

復旧箇所と優先順位は、平常時に行う事前対策の進捗状況により変化するため、それに応じて事前対策計画と復旧計画も更新します。
平常時の体制に切り替えるタイミングは、経営資源(ヒト・モノ・カネ・ファシリティ・情報システムなど)の切り替えと移動が伴うため、意思決定者による判断が必要です。

BCPはリスクが発生した際に十分機能することが高く問われます。
策定したBCPが実際に機能するかどうか、訓練などを通じて何度も検証し改善し、徐々に習熟させる運用と体制づくりが重要です。