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大成建設の災害対策ソリューション 第4回 BCP策定までの4つのステップ─フェーズ3「減災対策の実施」

BCP策定までのアプローチについて、大成建設では次の4つのステップに沿って進めることを推奨しています。

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フェーズ2「リスク評価と減災対策の立案」までのおさらい

  • 「中核事業・重要業務・重要ファシリティ」を特定
    BCPを策定する上で最も重要かつ基本的なこととして、企業の事業継続に関わる最も重要性の高い事業(中核事業)を被災時にもあらかじめ定めた期間内に復旧させるため、それら事業を行う上で欠かせない重要業務と、各業務にて使用される重要ファシリティを特定する。
  • リスク評価
    特定した重要ファシリティが停止するリスクを顕在化するため、「結果事象」からのアプローチなどを通して漏れのないリスクの洗い出しを行う。そして、リスクが発生した際の中核事業への影響を評価する。
  • 減災対策の立案
    リスク評価の結果をもとに、リスクを低減させる減災対策を検討。減災対策の優先順位、費用対効果などの分析・調査内容をBCP文書へまとめる。

※注:詳しい内容は、特集 第2回・第3回をご覧ください。

フェーズ3「減災対策の実施」では、フェーズ2にてご紹介した減災対策の策定方針に沿い、優先順位の高い内容から取り組みます。
今回は、一例として、国内における自然災害として最も危惧すべき地震をリスク要因に挙げ、生産工場にて減災対策を実施するうえでのポイントをご紹介します。

「地震から、何をどこまで守るか」─事前に耐震目標を設定することが重要!

3月11日に発生した東日本大震災の被災事例を検証した結果、

  • 非構造部材(天井や壁、パーティションなど)の落下・転倒による被害(従業員の負傷・生産の停止)
  • 生産装置や設備機器の移動・転倒による被害(生産の停止)

など、建物(構造体)が無事であったにも関わらず、上記のような被害によって業務を中断しなければならないケースが多く報告されました。

耐震金物の変形(強度不足)による生産機器の移動

耐震金物の変形(強度不足)による生産機器の移動

耐震金物が外れ、生産装置が移動したことによる配管の破損

耐震金物が外れ、生産装置が移動したことによる配管の破損

地震による被害を最小限に抑えるために減災対策を実施する場合、建物そのものや非構造部材・生産装置・設備機器などの重要ファシリティに対してバランスよく減災対策を施すことは今後の課題であり、まずは、建物そのものや非構造部材など、それぞれに対して耐震目標を設定することが重要なポイントとなります。

具体的には、検討すべきこととして、

  • 工場の特性や重要性
  • 製造の代替性
  • 地震リスクによる影響度の大きさ
  • 費用対効果

などを考慮したうえで、耐震目標を設定します。

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耐震目標に合わせた減災対策の実施例

建物(構造体)
耐震目標に合わせた構造補強策(例)

耐震目標に合わせた構造補強策(例)(拡大)

既存の建物(構造体)に対する構造補強策には様々なものが考えられますが、

  • 耐震目標
  • 工期
  • 生産業務への影響
  • 費用対効果

などを考慮し、最も有効な方策を選択します。

建物の重要度によっては、より堅牢な耐震性能を確保する「免震構造」を検討する場合もあります。
新潟中越沖地震や東日本大震災において、免震構造により地表の揺れの強さが1/4程度に低減したことが報告されています。大地震における免震構造の効果が実証されたことで、生産工場や物流センターにおいても、免震構造を採用されるケースが増えています。

免震構造により、震度6強の地震の揺れの強さを1/4に低減

免震構造により、震度6強の地震の揺れの強さを1/4に低減(拡大)

非構造部材(天井、壁、パーティションなど)
天井をブレース材で補強

天井をブレース材で補強

天井の地震対策については、耐震クリップの採用やブレースの設置など、様々な方法がありますが、

  • 部屋ごとの重要性
  • 被災後の目標復旧時間
  • 壁の耐震性と合わせた際の、費用対効果の高さ

などを考慮し、最適な対策を選択します。

壁は、壁上の床スラブと鋼材で固定したり、キャビネットはパーティションと独立して固定するなどの対策も考えられます。

壁を上下のスラブに強固に固定

壁を上下のスラブに強固に固定

生産装置と設備機器

各種装置や機器の固定状況(ボルトの径、使用本数など)を現地で確認し、設定した耐震目標に対して、

  • 既存の固定ボルトが引き抜きなどのトラブルを起こさないか
  • 固定場所や強度など、現状の固定状況で十分か

などを検討します。

具体的には、機器の足元を機器に合った耐震金具で固定したり、生産装置接続ダクトに耐震用振れ止めを設置するなど様々な対策が考えられます。

機器の固定(例)

機器の固定(例)

※最終回では、「BCP運用と改善」におけるポイントをご紹介してまいります。ご期待ください。