第4回「クラウド時代に求められるデータセンターの新しい形(ネスト・クラウド その2)」
前回の記事では、データセンターのモジュール化の動きをご紹介しました。今回は、大成建設が提案する次世代データセンターのコンセプトモデル「ネスト・クラウド」について説明します。
データセンターのモジュール化を進展させた究極の形が、コンテナ型データセンターです。アメリカでは大量のコンテナを並べたデータセンターの構築例が見られますが、敷地面積が限られる日本の場合は、縦積みタイプになると考えられます。日本では地震も多く、通常データセンターは免震構造で造りますが、同じ床面積の場合、建築面積(平面面積)が小さい方が免震装置の個数が少なく済み、縦積みタイプの方が有利です。
米国版コンテナ型データセンターと日本版コンテナ型データセンター
ネスト・クラウドの外観
また、日本では法規上、屋外にコンテナ型データセンターを並べることが難しく、天候による影響を回避するという面からも、建物内に収容することが必要となります。この考えに基づいて開発したモデルが「ネスト・クラウド」です。
ネストクラウドは、「受変電・エネルギー棟」、「ユニット棟」、「搬出入クレーン」の3つで構成されています。
「受変電・エネルギー棟」には、受変電、UPS、非常用発電機、空調熱源など、サーバーの稼働と冷却に必要な設備が置かれます。
「ユニット棟」は、コンテナなどのユニットを収容する棟で、エレベーター、階段、廊下を使ってアプローチできるようになっています。壁にはユニットを出し入れするためシャッターがあり、搬出入の時だけ開放されます。背面側には、大型パイプシャフトがあり、電源、ネットワーク、水などの配線・配管がなされています。
「搬出入クレーン」は、ユニットを搬出入するもので、レールや仮置き台などを持ったネスト・クラウドのために特別に製作された装置です。
ネスト・クラウドの構成
ユニットの搬入手順は次のようになります。まず、トラックが搬出入クレーンに横付けされ、ユニットが吊り上げられ仮置き台に置かれます。次に、クレーンが所定の位置まで移動し、建物のシャッターが開けられます。開口部に向かってユニットを横引きし、建物内の廊下を横断して所定の位置に設置されます。背面の大型パイプシャフトにある電源、通信、水/冷媒の配線・配管を接続すれば完了です。
ユニットの搬入手順
ネスト・クラウドには次のような特徴があります。
1.スペースの有効活用
- 縦積み方式により、敷地を有効活用できます
- 高密度実装により、サーバー室の面積を削減できます(従来比マイナス70%)
- 階高の抑制が可能となります
2.拡張性と柔軟性
- 必要な時に必要な数だけユニットを搬入することで、容易にサーバー室を拡張できます
- ユニットの置き換えにより、データセンターとして常に最先端の性能を確保できます
- ユニットが移動できます。サーバー室の再配置も短時間でスムーズに行えます
3.優れた環境性能
- 建物がコンパクトになり配管、配線が削減できます。エネルギーの搬送ロスも少なくなります
- ユニット内の小空間で排熱処理を行うため、空調効率が高まります
- コンテナやプレハブを再利用できます
4.工期短縮・リスク低減
- ユニットが工場で生産されるため、工事期間が短縮され早期にサービスを開始できます
- 現場工事が最小化され、振動、騒音、塵埃が大幅にカットされます。安全性も高まります
- 設備がブロック化されており、増設や改修による既存のIT機器へのリスクを極小化できます
ネスト・クラウドに収容できるユニットは、コンテナ型データセンターのほかに様々なバリエーションが考えられます。コンテナに無停電電源装置を搭載したUPSユニット、作業用スペースとしての事務室ユニットなどがその例です。また、ISO規格のコンテナ以外にも、空間モジュールを壁、床、天井で囲んだ工場生産のプレハブ型ユニットも対象となります。
ネスト・クラウドのユニット
最後に日本におけるコンテナ型データセンターの普及に向けて、現段階での課題を挙げます。
1.建築基準法や消防法など日本の法規との詳細部分における適合性
2.国内データセンター事業者のビジネスモデルとの親和性
3.コンテナ型固有の技術的課題の抽出と解決
- トレードオフの関係になりがちなフレキシビリティと堅牢性の両立
- セキュリティ対策
- 停電時の内部温度の上昇 など
大成建設は、これまで最新技術を組み込んだ数多くのデータセンターを建設してきました。引き続き、お客様のニーズを満足するデータセンターを構築して行くと共に、新しいバリエーションとして、ネスト・クラウドのようなコンテナに対応したデータセンターの検討を進めて行きます。
さて、4回シリーズで解説してきました特集「エコ&クラウド時代のデータセンターの姿」はいかがでしたか。データセンターを取り巻く状況は日々刻々と変化しています。
データセンターの計画段階からデータセンター内部で起こる様々な現象をリアルスケールで確認していただけるシミュレーションシステムや3次元床免震システムなどデータセンターを守る技術も様々ご用意しています。
大成建設では地球環境に優しい次世代のデータセンターづくりを目指しています。これからも最新動向をフォローし、新技術の開発とノウハウの蓄積を行っていく所存です。
ご希望の方には、ソリューション集『nest(地球と地域に優しい次世代データセンター)』を差し上げます。「お問い合わせ/資料請求」をクリックしていただき「nestパンフレット希望」とご記入いただきお申し込み下さい。


