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データセンター特集 環境配慮型データセンターの潮流と技術 第3回 バーチャルリアリティを活用したデータセンター熱解析システム

データセンターの熱問題対策の検証方法

データセンターのサーバー等のIT機器が必要とする電力量は、近年のサーバーの高機能化、それに伴う高密度化により、増大しています。またサーバー室内を冷却する為に空調機が消費する電力も増えており、データセンターにおける電力エネルギーの効率化を考える上で、バランスの取れた空調環境の構築が重要なポイントとなっています。

高機能なサーバー群がもたらす発熱への対応策としては、従来のような空調機の台数、風量等の増強に頼るだけではなく「サーバーラックの形状・材質」「フリーアクセスの高さや開口の位置」「データセンターそのものの階高や梁・天井の形状」等、総合的な検討を行い、機能、効率の両面に優れた最適解を考えていくことが望まれます。

第一回「発熱に対する総合的な検討」にてご紹介しましたサーバーからの発熱が引き起こすデータセンターの熱問題、この問題に対してサーバーが設置・稼動した後で対策を施すことは、データセンターがミッションクリティカルなサービスを行うことから考えても、非常に難しく、計画段階での徹底した検証が必要となります。

一般的な検証方法としては、

  • サーバー室内の温度分布や気流状態を解析し、2次元、3次元での可視化によって計画に問題点がないかを検討
  • サーバー室のモックアップを作り、実際の空調機等を用いて検証

といった方法があります。

VRの高度化技術を活用した温熱シミュレーション

大成建設では前述した2つの検証方法のメリットを併せ持った、データセンターの熱問題を解決するツールとして、バーチャルリアリティ(以後VRと表記)を活用したデータセンター熱解析システムを使っています。

Hybridvision

Hybridvision

VRとは、3次元のリアルな空間をコンピュータ内部に構築し、その空間の中に人が没入して映像や音響をリアルタイムで体感できる技術です。
VR技術を更に高度化させた当社保有技術である「Hybridvision」(ハイブリッドビジョン)を用いて建物内部を実寸大で表示し、データセンターのサーバー室内における温熱環境のシミュレーション結果を様々な形で表示可能にしました。

新たなIT融合型実験ツール

新たなIT融合型実験ツール(拡大)

この「Hybridvision」では、計画中の建物をCAD図情報等から正確にVR上に構築できるとともに、サーバーや建物・空調機器等の詳細情報を与条件とした、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)によるサーバー室内温熱環境解析の結果をVR上に融合表示させることで、リアルスケールにて完成後のデータセンターのサーバー室内における気流や温熱の状態を細部まで確認できます。

実際にVRを活用してデータセンターの温熱シミュレーションをした結果をご説明します。

(画像1)〜(画像3)は、標準的なデータセンター内部の気流や温熱の状態のシミュレーション結果をVR上に融合表示したものです。

画像1:VRによるサーバー室の鳥瞰

画像1:VRによるサーバー室の鳥瞰

画像2:グレーチング部からの冷却空気の吹き出し(コールドアイル)

画像2:グレーチング部からの冷却空気の吹き出し(コールドアイル)

画像3:サーバーからの排熱を吸い込む空調機

画像3:サーバーからの排熱を吸い込む空調機

サーバー室の中央部にサーバーラックが、両サイドに空調機が並んでいます(画像1)。両サイドの空調機下部から吹き出した冷却空気はフリーアクセス床下を通り、床開口部のグレーチング部分よりサーバー室内に吹き出します(画像2、青い模様がその流れを示しています)。この吹き出し部、グレーチングが数多く設置されている通路は、「コールドアイル」と呼ばれています。

コールドアイル両側にあるサーバーラック内のサーバーは吸気口をこの通路に向けており、一定温度以下の空気を吸い込むことが出来るようになっています。そしてコールドアイルの両隣にある通路は、サーバーの排気口が並ぶ為、サーバーの排熱により高温となる個所であり、「ホットアイル」と呼ばれています。

このホットアイルの暖かい空気は、グレーチングからの冷却気流により、サーバー室上部へと運ばれていき、最終的には室両サイドの空調機上部へと吸い込まれます(画像3、赤い模様がサーバーからの排熱の流れを示しています)。

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