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アグリビジネス 「農業の企業化」を目指して夏も冬も定量的に出荷を可能にする国内最大級のプラントファクトリー

財団法人 北海道農業企業化研究所

北海道樺戸郡浦臼町は札幌から特急スーパーカムイに乗り45分JR砂川駅から車で20分の場所に位置しています。
雄大な景色が広がり、美しいラベンダー畑を過ぎるとガラスを多用した外観の施設が見えてきました。この施設は大規模温室であり国内最大級の植物工場として機能する「プラントファクトリー」です。2001年に未来型農業施設として大成建設の設計・施工・生産設備エンジニアリングにより完成しました。

現在アグリビジネスが社会的に注目される中、大成建設は植物工場の事業化サポートを推進していますが、その原点ともなった施設がこの「プラントファクトリー」です。

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財団法人 北海道農業企業化研究所 企画部長の土橋祐之様に施設をご案内していただきながらお話を伺いました。

画像土橋:
この施設は農業を厳しい自然環境に左右されずに安定して経営できる産業にしたいという目的から建設された施設です。実際、この浦臼町周辺エリアは一年の約半分の期間、積雪により営農できません。
計画時より大成建設の方と国内外の植物工場調査と施設の視察をし、日本一、世界一の今までにない施設を建設しようという思いでプロジェクトが始まりました。そして苦労の末、2001年に3年間の構想期間を経て完成されました。
まずはこのプラントファクトリー内で大きな面積を占めている「太陽光温室」をご案内しましょう。

画像温室内は自然光と風を取り込み、サンチェやサラダ菜などが青々と美味しそうに育っています。ちょうど収穫のタイミングに立ち会うことができたのですが、収穫ロボットが収穫に適した時期の野菜パネルを運んできます。数秒で収穫を担当する女性の元に運ばれて来て、女性が慣れた手つきで手際よく収穫していきます。

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環境コントロールができる太陽光温室

温室エリア 奥行き78m×幅43.5m

温室エリア 奥行き78m×幅43.5m

ここは、太陽光を取り入れた大規模温室となっており温度、湿度、植物が光合成に必要な二酸化炭素までコントロールしています。
室温が上がれば太陽光を遮るために天井に張られたカーテンが自動でひかれ、自動的に水を噴霧し温度を下げます。

収穫ロボットで効率アップ・省作業化

収穫ロボットを見ていただきましたが、省力化・自動化することを前提にこの施設は計画されましたので、農業外で使用されているロボットを農業で使えないかという発想から導入され運用しています。
収穫ロボットは通路スペースのムダを省き。面積効率の向上につながっています。

冬の冷気を夏の冷房に!

画像夏期には温室内の気温は30度近くになります。ここで活きてくるのが、我々と大成建設さんの共同特許の季節間氷蓄熱空調システムです。
建物の地下ピット内に巨大なコンクリート製の氷貯蔵層をつくり、冬期に毎日数cmずつ水を張り外気を取り入れて凍らせます。夏期にその氷を熱源として温室内の冷房を行いランニングコスト削減に成功しています。
豪雪地帯であるこの地域では雪を使って何か省エネに役立てないかと考えがちでしたが、そこをメンテナンスフリーの氷に着目したのは大変良かったと考えています。

次に日照時間が短い冬の季節にも、安定した生産が可能な「人工光室」です。

巨大な冷蔵庫に入ったような気がします。蛍光管が使用されサラダ菜やレタスなど多段化されて育っています。確かにこの施設があれば季節や気候に関係なく一定量を継続的に生産していくことが可能になることがわかります。

ここは室温をほぼ一定に保ち蛍光管を使用して生産されています。多段化されていますので生産量は先ほどご覧いただいた太陽光温室と変わりません。

もう一つの設備として「太陽光併用温室」があります。
日照が足りない時に人工光で光の量や日照時間を補うことができます。今の季節は太陽光温室として使用しています。

人工光室

人工光室

太陽光併用温室

太陽光併用温室

生育環境も再現できるグロースチャンバー

グロースチャンバー

グロースチャンバー

その他の施設としては、試験装置として「グロースチャンバー」があります。さまざまな環境条件を精密に再現できる試験施設です。植物の生育条件調査や環境条件による比較生育実験など栽培実績のない作物の生育環境実験を行います。

野菜の貯蔵も冬の冷気で!

最後に「野菜貯蔵室」をお見せしましょう。 収穫した野菜を出荷まで一時保存させるスペースですが、この野菜貯蔵室の奥にはアイスシェルターがあります。4,100個の製氷パレットに水を入れ、高さ6mの棚に設置し冬季に氷点下の外気を取り入れて氷を作り、夏は氷が融解するときの潜熱を利用して野菜貯蔵室に冷気を送ります。このシステムもランニングコストの削減に役立っています。

アイスシェルター

アイスシェルター

野菜貯蔵室

野菜貯蔵室

施設をご案内いただきましたが、延べ面積約9000m2という敷地にほとんど人がいないので、省力化、自動化が実現できていると感じました、また寒冷地という立地を活かした省エネ技術を導入し安価なランニングコストを実現している施設としての機能の高さを実感しました。

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