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アグリビジネス 「LED」が繋ぐ未来のアグリビジネス スタンレー電気と大成建設の「明るい」関係

昨年末、植物工場事業化のサポートのために開発した「LED光源を用いた高効率な栽培ユニット」をご紹介しましたが、多くのお客様からお問い合わせをいただきました。
今号では、開発者のスタンレー電気 平本様と大成建設 山中氏に栽培ユニットについてお伺いしました。

スタンレー電気株式会社 新規事業開発室 室長 平本 様

スタンレー電気株式会社
新規事業開発室 室長
平本 様

大成建設株式会社 エンジニアリング本部 新規事業グループ 課長 山中 氏

大成建設株式会社
エンジニアリング本部
新規事業グループ 課長
山中 氏

─日本経済新聞などでも「栽培ユニット」が紹介されましたが、反響はいかがですか?
17階のユニット

17階のユニット

スタンレー電気 平本様(以下 平本様):
2009年11月に幕張メッセで開催されました「アグロイノベーション2009」に出展した際に「栽培ユニット」を展示したのですが、来場者の方々が足を止められてご覧になり大学教授やメーカーの技術者の方から「こういうモノが欲しかった」と言っていただけました。

山中氏:
近年アグリビジネスが注目されはじめ、大成建設では10年以上前から取り組んできた実績もありさまざまなお問い合わせをいただきます。
そんな中「まずは実験的にやってみたい」というご要望を多数いただきましたが、試作できる装置がないため断念されるお客様もいました。「栽培ユニット」は、縦:約2m、横:約2m、奥行き:約70cmというコンパクトな設備になっています。こういった設備を具現化できたことはアグリビジネスの発展のためにも画期的なことだと思います。

─「栽培ユニット」の共同研究に至るまでのスタンレー電気株式会社様のアグリビジネスへの取組みを教えて下さい。

画像平本様:
スタンレー電気は「光に勝つ」というビジョンのもと、自動車用ランプや液晶のバックライトなど光に関わる部品を製造販売しています。私の所属する新規事業開発室では10年前から花や植物への光の効果や影響を研究機関と連携して進めてきました。光源づくりは得意ですが栽培を自力ですることが難しく、光の効果の確認は研究機関やメーカーさんと一緒に進める必要がありました。

山中氏:
出会いは2008年10月に開催された「アグリビジネス創出フェア」でスタンレー電気様のブースを訪問したのが始まりです。当時はスタンレー電気様が植物工場の光源を作られていることを知りませんでしたし、LEDはまだまだ将来的な技術だと思っていました。

─当初からLEDを使って共同研究することは決まっていたのでしょうか?

山中氏:
当初は直径4mmの蛍光管で試作を進めましたが、光量が足りないので直径6mmに変更するなど、試行錯誤が続きました。蛍光管は安いのがメリットでしたが沢山並べないとパワーが得られないこと、また安定器が必要なため所定の高さで期待していた段数を増やすことができず、スペース的なメリットが得られないこともわかりました。
その際にスタンレー電気様からLEDにしてみましょうという提案をいただきました。

LEDと平本様、山中氏

LEDと平本様、山中氏

平本様:
発生する熱量をどう逃がすか、光量、光質を植物にあったものにするにはどうしていくか育成試験を行いながら改良を加えていきました。
栽培ユニットに採用しているLEDの色合いをバランスよく組み合わせることにより光質は他社に類をみない太陽光に近い「透き通ったきれいな光」を生み出しています。
また防水面では、水耕栽培という湿度が高くなる環境に耐えられるLEDの光源をつくり、パネルも防水対策していますので2重の防湿対策となっています。

─LEDを用いることで省スペース・省電力が実現できたというわけですね。
栽培ユニット

栽培ユニット

平本様:
LEDを用いることで省エネ、コンパクト性、メンテナンス性の向上などが実現できました。
従来のようにLEDを直接貼り付ける直下型とは異なり、防湿性の高い薄型の面光源に仕上げています。さらにLEDとしては低価格のメリットも出すことができました。

また、光の特長としては拡散しない平行光となっており距離が遠くなっても光量の減衰が少なく、その意味でも太陽光に似ています。栽培光源としては新発想の光源と思っています。きっと植物も気持ちよく育つと思います。

─共同研究開始から「栽培ユニット」の完成まで短期間でしたね。

山中氏:
2008年10月に展示会でお会いして、2009年12月に発売できたのはスタンレー電気様が試作品をスピーディに作って下さったからです。自動車会社向けの試作の製作で慣れていらっしゃるとのことでしたが、技術力はもとより、改良のスピードやタイミングが素晴らしかったです。

平本様:
大成建設さんは植物工場に実績があり、ビジネスシナリオやターニングポイントの捕らえ方がしっかりしていたので、とても良いパートナーに出会えたと思っています。
また、お互い「新規事業」という部門ということで相通じるものがありました。

─今後アグリビジネス展開に対する思いをお願いします。

平本様:
日本の食品は「品質」も「安全性」も世界一と言われています。植物工場で採れる野菜は農薬なども使用していないので、高品質なものが収穫できると思います。あるシェフは洗浄や選別工程が省けるので、大きなメリットがあるとおしゃっていました。

画像植物工場が、日本のお家芸的なものになってゆくことを期待したいです。そこで使われる光源は今後LEDが中心になってくることは間違いありません。この分野で大成建設さんと良いビジネスができると思っています。
植物以外の畜産や養殖といった分野でも光の応用が期待できますので、また何か新たな共同研究ができれば良いです。

山中氏:
さまざまなお問い合わせをいただく中で、アグリビジネスの関心の高さを実感しています。食料問題や地域の活性化を考える人が増え、日本を良くしようという思いが広がりはじめているように感じます。今回開発しました「栽培ユニット」をきっかけにし、さらなる活性化につなげていければと考えています。

─本日はありがとうございました。

(取材日 2009年12月22日)

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